ビットコインが2026年4〜6月期に14.2%下落した一方で、機関投資家によるビットコイン現物ETFの保有量は増加した。13F開示ベースでは保有量が前四半期比7.5%増えた一方、保有機関数は減少しており、投資主体の絞り込みが進んだ格好だ。
CryptoSlateが8月19日付で報じたところによると、Bitcoin Strategyの集計では、米証券取引委員会(SEC)への13F開示を基にした機関投資家のビットコイン現物ETF保有量は、49万8389BTCから53万5723BTCに増加した。
これに対し、同期間にビットコインの持ち高を報告した機関数は約2000社から1900社前後へと6.8%減少した。保有主体は減ったものの、残った一部機関の投資規模は拡大した。
機関別の動きをみると、銀行や一部の資産運用会社は保有を積み増した一方、ヘッジファンドではETFの持ち高を大きく減らす例も目立った。国富ファンドや大学基金、アドバイザリー系投資家の一部は、価格下落局面でも保有をおおむね維持した。
JPMorganが保有するBlackRockのビットコイン現物ETF「IBIT」は、830万2691株から1040万7635株へ25.35%増加した。6月30日時点の評価額は約3億5570万ドルだった。
ただ、これだけでJPMorganが約3億5600万ドル相当の強気ポジションを取ったとみるのは早計だ。13Fの集計値には顧客口座やヘッジ取引、複数の運用デスクに分散したエクスポージャーが反映される可能性があるためだ。
Renaissance Technologiesの増加幅はさらに大きい。IBITの保有は約34万株から140万3942株へ312.92%増え、四半期末時点の評価額は約4670万ドルとなった。
一方で、保有比率を大きく落とした機関もある。英ヘッジファンドのBrevan HowardによるIBIT保有は、2430万4788株から720万5004株へ70.36%減少した。
もっとも、表面上は弱気に見えるこのポジションにも留意が必要だ。同じ開示には、約723万株相当のコールオプションと約527万株相当のプットオプションも含まれていた。開示株数だけを見て、ビットコインのエクスポージャーを大半整理したと判断するのは難しい。
Citadel Securitiesも同様の傾向を示した。IBITの保有株数は59.66%減の51万4614株だったが、約2465万株相当のコールオプションと約1786万株相当のプットオプションも保有していた。
マーケットメイクを担う事業者の持ち高は、一般的な投資機関とは分けてみる必要がある。Jane StreetのIBIT保有は587万2212株から2487万8191株へ急増し、四半期末時点の評価額は約8億2820万ドルに達した。
ただ、数字だけを見て大規模な買いと受け止めるのは適切ではない。Jane StreetはIBITの指定参加会社としてETFの設定・償還を担っており、四半期末の保有は価格上昇を狙ったポジションというより、市場形成やヘッジの過程で生じた取引在庫である可能性が高い。
実際、開示には約3400万株相当のコールオプションと、約3480万株相当のプットオプションも含まれていた。
一方、長期保有色の強い機関は持ち高を維持した。Mubadala Investment CompanyはIBITを1472万1917株のまま保有し、四半期末時点の評価額は約4億9010万ドルだった。
Harvard Managementも304万4612株を維持し、Fortress Investment Groupも132万5000株を据え置いた。Abu Dhabi Investment Councilの保有も821万8712株と大きな変化はなかった。ビットコインが期中に14.2%下落しても、これらの機関は保有を減らさなかったことになる。
機関保有の統計が調査ごとに異なるのは、集計基準の違いによる。Bitcoin Strategyは13F開示を基に、機関投資家が米国上場のビットコイン現物ETF資産の44.2%を保有していると分析した。
これに対し、CoinSharesは独自基準で、専門13F申告者の前四半期保有量を26万1000BTC、保有比率を20.8%と算出した。対象とする申告者や商品範囲によって、機関保有の規模は大きく変わり得る。
第3四半期は、国富ファンドや基金、アドバイザリー・プラットフォームを中心とした長期資金の需要が広がるかが焦点となる。機関の総保有額が維持されても、その相当部分が市場形成向けの取引在庫であれば、次の下落局面で機関需要の持続性が改めて問われる可能性がある。