Samsung Electronicsのファウンドリー事業は、2026年7〜9月期に損失幅が縮小する見通しだ。高帯域幅メモリ(HBM)需要の拡大を受け、HBM4向けベースダイの生産が増えているためで、黒字化の時期は外部顧客向けターンキー受注と先端工程案件の拡大が左右しそうだ。
HBM4のベースダイは、Samsung Electronicsのファウンドリーロジック工程で製造される。HBM販売の拡大が、そのままファウンドリーの稼働率や売上を押し上げる構図だ。さらに同社は、メモリ、ファウンドリー、先端パッケージングを一体で受注するターンキー提案を通じ、外部顧客の取り込みも進めている。
業界関係者によると、9月29日時点で市場の関心は、7〜9月期決算を前に、ターンキー戦略の初期成果が損失圧縮にどこまで寄与したかに集まっている。Kiwoom Securitiesは23日付のリポートで、Samsung Electronicsの注目点を「汎用メモリ価格の上昇」から「HBMとファウンドリーのシェア拡大」へ移した。
同社は、2026年10〜12月期の汎用DRAM価格上昇率が前四半期比3%にとどまるとみて、業績のけん引役を見直した。今後はHBM4とExynos 2800の販売拡大を背景に、HBMとファウンドリーが成長を支えるとみている。
HBM4の拡販がファウンドリー需要を押し上げる背景には、HBMの製品構造がある。HBMはDRAMを多層に積み重ねてデータ処理速度を高めるメモリで、最下層には各層の信号を制御するベースダイが配置される。
Samsung Electronicsは2月、線幅を縮小した1c DRAMと4ナノ工程のベースダイを組み合わせたHBM4を量産出荷した。5月には、次世代品となるHBM4Eのサンプルを顧客に供給したと発表している。
このベースダイを内製するには、ロジック半導体を生産できるファウンドリーラインが必要となる。業界では、大手メモリ3社の中でロジックチップを生産できるのはSamsung Electronicsだけとみられている。
ロジックチップは演算や信号制御を担う半導体で、HBMでは最下層のベースダイがこれに当たる。HBM4ではこのベースダイをファウンドリーの4ナノ工程で製造するため、HBM売上に占めるHBM4の比率が高まるほど、メモリ販売の拡大がファウンドリー業績にも反映されやすくなる。
実際、ベースダイ需要の増加は2026年4〜6月期の実績にも表れている。ファウンドリー事業部は7月の決算説明会で、売上増加要因としてメモリ関連製品とHBMベースダイを挙げた。
また、8ナノ以下の先端工程は高い稼働率を維持していると説明。2026年下期のファウンドリー売上については、前年同期比で2桁増を見込み、その要因の1つとしてメモリ向けベースダイ販売の拡大を示した。
7〜9月期には、ベースダイの出荷量がさらに増える見込みだ。Samsung Electronicsは、同四半期のHBM4売上が前四半期比で3倍以上に拡大し、下期にはHBM全体売上の60%を大きく上回ると見込んでいる。
HBM4の販売増に連動し、ファウンドリーが生産するベースダイも増える。これが7〜9月期の損益改善を支える主要因になるとみられる。
業績面でも改善期待は強い。Kiwoom Securitiesによると、Samsung Electronicsのファウンドリー・System LSI部門の営業損失は、2025年の6兆7420億ウォンから、2026年には3兆9210億ウォンへ縮小する見通しだ。
四半期ベースでは、4〜6月期に拡大した損失が、7〜9月期には7770億ウォンまで再び縮小するとの見方を示している。
2025年上期には四半期ごとに2兆ウォンを超えていた損失は、2026年に入ってから7000億〜1兆2000億ウォンの範囲で推移している。メモリ向け需要だけではファウンドリーラインの稼働を十分に埋め切れず、損益の振れが大きくなっていたことが背景にある。
この点でも、外部顧客とのターンキー契約拡大による改善余地は大きいとみられている。Samsung Electronicsは7月、Broadcomと2030年までに2000億ドル超の協力を進める業務提携を結んだ。
Broadcomが設計するカスタムAIアクセラレーター向けにHBM4とHBM4Eを供給し、主要製品には2ナノ以下工程と先端パッケージングを適用する内容だ。
損失縮小の決め手として注目されるのは、外部顧客による先端工程の受注量だ。Samsung Electronicsのファウンドリー事業部は4〜6月期に、大手CSP(クラウドサービス事業者)とAI・HPC顧客から2ナノ案件を受注し、顧客側が製品設計に着手したと明らかにしている。
The Informationの報道によると、AnthropicもSamsung ElectronicsのファウンドリーにAIチップの生産を委託する見通しだ。
7〜9月期決算では、HBM4向けベースダイが損失縮小にどこまで寄与したかが焦点となる。市場では、その先の黒字化について、ベースダイで圧縮した損失を外部向けターンキー受注がどこまで埋められるかにかかっているとの見方が出ている。
Samsung Electronicsは4〜6月期決算の発表時、黒字化の時期について「近いうちに可能になると見込む」と説明していた。