米暗号資産市場の制度設計を担う「Clarity法案」について、中間選挙前の成立確率は10%程度にとどまるとの見方が強まっている。上院の8月休会に加え、銀行や証券、デリバティブ業界の利害対立も重なっており、9月15日に予定される採決が今後を占う試金石となりそうだ。
ブロックチェーンメディアのCoinPostが19日(現地時間)に伝えたところによると、Solana Policy InstituteのCEO、ミラー・ホワイトハウス=レビン氏は、上院が1年以上にわたって議論を続けてきたものの、現在は8月休会中で審議は事実上止まっていると指摘した。
Clarity法案は、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の間で、暗号資産規制の管轄を明確にする市場構造法案だ。業界では、米国の暗号資産規制の大枠を定める重要法案として注目されてきたが、会期が終盤に入るほど成立のハードルは高まるとの見方が広がっている。
ホワイトハウス=レビン氏は、上院が8月休会に入ったことで「身動きが取れない状態だ」との認識を示した。審議入りに必要な同意も、法案成立に向けた手続きの入り口にすぎないとした上で、「期待はしているが、現実的に見ている」と語った。
こうした見方は、予測市場の織り込みよりも慎重だ。Polymarketは年内成立の確率を21%、Kalshiは23%と見込んでいる。ただ、いずれも1カ月足らずで従来の50%前後から大きく低下しており、市場の成立期待が急速に後退していることを示している。
先行きが不透明になっている背景には、伝統的な金融業界の反発もある。ホワイトハウス=レビン氏によれば、今回の法案推進は事実上6回目の市場構造法制化の試みだ。大統領の関与が民主党内の政治判断を複雑にしているほか、銀行はステーブルコインの利子収益条項に異議を唱え、証券・デリバティブ業界も自社事業への影響を警戒しているという。
立法の遅れが長引くなか、規制当局による独自対応にも関心が集まっている。SECは最近、登録要件の一部を免除する「Regulation Crypto Asset」の提案を示した。RippleのCLO、スチュアート・アルデロティ氏は、法案審議が停滞してもSECとCFTCがルール整備の手を止めることはないとの見方を示した。両機関の協力は前向きな材料とされる一方、業界はなお立法を優先すべきだとの立場を崩していない。
アルデロティ氏は、規制当局のルールだけでは持続可能な枠組みの構築は難しいと指摘した。法制化が最優先課題であり、立法が頓挫すれば暗号資産企業の拠点が海外へ移り、米国が雇用や投資、イノベーションを失うおそれがあると警告した。米国内の暗号資産関連雇用は23万2000人規模で、経済活動への寄与は550億ドルに上るとも述べた。
今後の最大の焦点は9月15日だ。上院共和党は今月7日、法案採決を9月中旬に先送りする方針を決めた。アルデロティ氏は「9月15日の上院本会議で、審議入りに向けた同意案が処理される予定だ」と説明。「前に進むには60票の賛成が必要になる」とした上で、この採決が法案の行方を占う重要な節目になるとの見方を示した。
Clarity法案は、9月中旬の採決結果を起点に立法の推進力を見極める局面に入る。ただ現時点では、上院日程の遅れに加え、金融業界の反発や業界内の利害対立が重なっており、米国の暗号資産市場構造法制を巡る不確実性はなお大きい。