米30年債利回りの上昇で、ビットコイン市場に流動性圧迫への警戒が強まっている。写真=Reve AI

米30年債利回りが2007年以来初めて5.3%台に乗せ、ビットコイン市場に逆風となっている。Galaxy Digitalによると、暗号資産担保融資の規模はピーク時から225億3000万ドル縮小した。一方で、先物の未決済建玉は増加しており、市場では今回の調整がマクロ要因主導なのか、信用収縮の連鎖に発展するのかが焦点となっている。

CryptoSlateによると、Galaxy Digitalは18日(現地時間)、暗号資産担保融資の規模がピーク比で225億3000万ドル減少したとするレポートを公表した。同日のビットコインは一時6万4600ドル台まで上昇した。

今回の金利上昇は、弱い経済指標を受けて9月の米連邦準備制度理事会(Fed)による利上げ観測が後退する流れとは逆の動きとなった。景気減速懸念が強まる局面では通常、長期金利は低下しやすいが、30年債利回りは5.2954%まで上昇し、日中には一時5.314%を付けた。終値ベースでも、19年ぶりに5.3%を上回る水準に乗せる可能性が高まった。

市場では、米財政運営への懸念に加え、人工知能(AI)投資の拡大に伴う社債発行の急増が長期金利上昇の背景にあるとの見方が出ている。30年債の実質金利も約3%と、18年ぶりの高水準にとどまっている。

各国政府とAI関連企業による資金調達拡大を背景に、長期資金需要が大きく膨らんだとの見方もある。Alphabet、Amazon、Metaの今年の社債発行額は合計約2200億ドル(約33兆円)と、2025年通年の1080億ドル(約16兆2000億円)の2倍を超えた。

こうした環境はビットコインにとって重荷となる。投資家は米国債でインフレ調整後の実質リターンを確保できる一方、ビットコインは保有してもインカムを生まない。長期金利が高止まりするほど、長期資金の配分を巡る米国債との競争は厳しくなる。

暗号資産市場では、担保融資の規模も従来の高水準から大きく縮小した。Galaxy Digitalによると、2026年4~6月期時点の暗号資産担保融資は561億6000万ドルだった。

これは前四半期比で113億3000万ドルの減少で、2025年7~9月期のピークである786億9000万ドルと比べると225億3000万ドル少ない。

DeFiレンディングの借入規模も、昨年9月の471億3000万ドルから、7月21日時点では219億4000万ドルへと53%超減少した。暗号資産関連の負債総額は3四半期連続で縮小している。

ただ、今回の縮小局面は2022年とは様相が異なる。2022年には暗号資産担保融資が1四半期で55%超減少し、その後の2四半期も9%、29%と縮小が続いた。

これに対し、直近3四半期の減少率は約10%、5%、17%と比較的緩やかだった。Galaxy Digitalはこれを、段階的なリスク圧縮と位置付けている。

一方、デリバティブのエクスポージャーは再び拡大している。先物の未決済建玉は4~6月期末時点で1032億ドルだったが、7月末には約1140億ドルまで増え、1カ月で110億ドル近く積み上がった。

ビットコイン先物の未決済建玉も、四半期中に約450億ドルまで低下した後、480億ドル水準へ回復した。Galaxy Digitalは、未決済建玉の増加が直ちにレバレッジ拡大を意味するわけではなく、一部には現物保有分のヘッジ目的のポジションも含まれる可能性があると指摘した。

それでも、市場構造が変化していることは明確だとしている。

焦点は、ビットコインの下落がどの経路で進むかにある。ビットコインが軟調に推移しても、担保融資の減少が足元のように緩やかに続くのであれば、今回の売りは高い実質金利と国債・社債の大規模供給に起因するマクロ主導の調整である可能性が高い。

一方で、担保融資の縮小が急加速し、先物の未決済建玉も急減するようなら、前回サイクルで見られた信用収縮による連鎖的な清算に近い構図となる。

Galaxy Digitalは上昇シナリオについても示した。30年債利回りが5.1%を下回るか、実質金利が現在の高水準から低下すれば、ビットコインは6万7000~7万2000ドルのレンジを改めて試す余地があるという。

その場合の前提は、先物の未決済建玉がおおむね安定して推移し、担保融資も急拡大しないことだ。

逆に、30年債利回りが5.4~5.7%台へ一段と上昇し、実質金利も高水準を維持すれば、ビットコインは6万ドルを割り込み、5万2000~5万8000ドルのゾーンに向かう可能性があるとした。

この局面で先物の未決済建玉が大きく減少し、清算が増えたとしても、担保融資の減少が足元のように段階的なものにとどまるなら、2022年型の貸出機関崩壊とは異なる「マクロ主導の下落」と解釈できるという。

今回の局面は、ビットコインがこれまで経験したことのない長期金利環境に耐えられるかを試す段階に入ったといえる。すでに225億ドル規模の信用収縮が進んでおり、今後の焦点は、債券市場の金利圧力がさらに強まるのか、それとも暗号資産市場内部のレバレッジが再び揺らぐのかに移っている。

キーワード

#ビットコイン #米30年債 #長期金利 #実質金利 #Galaxy Digital #DeFi #ビットコイン先物 #未決済建玉
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.