American Airlinesが、縮小してきたシートバックモニターの再導入に踏み切る。対象は単通路機約800機。2028年から新造機への搭載を始め、既存機の改修も進める。機内Wi-Fiと組み合わせたデジタルサービスの強化に加え、プレミアム席の比率引き上げも進める方針だ。
Business Insiderが18日(現地時間)に報じたところによると、同社は新たに導入するAirbus機とBoeing機、さらに既存機の改修機を含む単通路機約800機にシートバックモニターを設置する計画を示した。
新造機への搭載は2028年に始める。既存機の改修も同年に着手し、2030年代初頭まで順次進める予定だ。
新たなシートバックモニターでは、映画やテレビ番組、ゲーム、音楽などを提供する。Bluetooth接続にも対応し、乗客は手持ちのワイヤレスイヤホンやヘッドホンを利用できるようになる。
今回の方針転換は、同社が約10年にわたって続けてきた個人端末中心の機内エンターテインメント戦略を見直す動きといえる。これまでAmerican Airlinesは座席モニターを減らし、乗客がスマートフォンやタブレットで機内コンテンツを視聴する方式を拡大してきた。
ただ、足元では乗客の嗜好や機内インターネット環境が変化している。同社は、新型コロナウイルス感染症以降に顧客の利用行動が変わり、とりわけ若年層を中心に、移動中でも複数のデバイスやより大きな画面を求める需要が高まっているとみている。
機内通信環境の改善も、戦略見直しの背景にある。American Airlinesは、低軌道衛星技術の進展によって、機内で提供できるサービスの幅が大きく広がっていると説明している。現在はAT&Tの協賛により、ロイヤルティプログラム会員向けに無料Wi-Fiを提供している。さらに2027年からは、単通路機500機超にSpaceXのStarlinkを導入する計画だ。
同社は今後、シートバックモニター、乗客の個人端末、高速インターネットを組み合わせる形で、機内のデジタルサービスを拡充する考えだ。シートバックモニターの再導入にとどまらず、接続性とエンターテインメントを一体化した体験の提供を目指す。
あわせて、プレミアム席の拡充も進める。現在、American Airlinesの単通路便ではプレミアム席が全体の約25%を占めるが、今後数年でこの比率を約40%まで引き上げる計画という。
背景には、航空各社の間でプレミアムサービス競争が激しくなっていることがある。富裕層を含む高単価需要の取り込みを狙う動きが広がる中、American AirlinesもDelta Air LinesやUnited Airlinesに対抗し、上位席と関連サービスの強化を急いでいる。
同社はシャンパン「Bollinger」や「Lavazza」のコーヒーを導入しているほか、ダラス・フォートワースとニューヨークのJFK国際空港で高級ラウンジの拡充も進めている。
American Airlinesの最高財務責任者(CFO)、ナット・パイパー氏は直近の決算発表で、プレミアム需要は他の事業部門よりも速いペースで拡大しており、景気の不透明感がある局面でも比較的底堅く推移する可能性があると述べた。
American Airlinesは、2027年のStarlink導入に続き、2028年から単通路機約800機でシートバックモニターの展開を本格化させる。個人端末中心だった機内サービスを、モニター、高速通信、プレミアム席を組み合わせた形へと再構築する構えだ。