Tesla株の急落後に空売り勢の評価益が膨らんだとの試算が出た。写真=Shutterstock

Tesla株の急落を受け、空売り勢の年初来評価益が約90億ドルに達したとの試算が示された。ただ、この数値は7月23日の急落直後を基準にしたもので、8月時点の実際の損益を示すものではない。

ブロックチェーン系メディアのDecryptが8月17日(現地時間)に報じたところによると、金融データ会社S3 Partnersは、Tesla株が1日で14.5%下落した7月23日時点で、空売りポジションの年初来評価益を90億800万ドルと試算した。

同社によれば、7月23日の株価急落だけでTeslaの空売り筋には約43億ドルの含み益が発生した。当時は流通株式の約3%が空売りされており、「マグニフィセント7」の中では空売り比率が最も高い水準だった。

もっとも、90億800万ドルという数字を、そのまま現在の空売り勢の利益とみなすことはできない。あくまで7月23日時点の評価損益であり、その後の株価変動やポジションの増減は反映されていないためだ。

Tesla株は7月23日に319.69ドルで引けた後、7月29日には298.32ドルまで下落した。その後は持ち直し、8月17日には339.20ドル前後まで戻した。

このため、7月の急落後も売り持ちを維持していた投資家は、その後の続落局面で利益が膨らんだ可能性がある。一方で、株価反発に伴い含み益の一部が縮小した向きもあるとみられる。

空売り筋全体の正確な損益を把握するには、空売り残高や参入価格、買い戻しの履歴、新規の売り建てなどを反映した最新データが必要になる。

年初来の株価推移だけを見れば、空売り勢に有利な地合いは続いている。Tesla株は前年12月31日の終値449.72ドルから、8月17日時点の339.20ドル前後まで約24.6%下落した。

ただし、年初来で株価が下がっていても、すべての空売り投資家が利益を得ているとは限らない。売り建てと買い戻しのタイミングが投資家ごとに異なるためだ。

株価下落の主因となったのは第2四半期決算だ。Teslaの調整後1株当たり利益(EPS)は0.33ドルと、アナリスト予想平均の0.55ドルを大きく下回った。

売上高は282億4000万ドルで、市場予想の275億8000万ドルを上回った。一方、営業利益は前年同期比57%減の3億9800万ドルにとどまり、営業利益率も1.4%まで低下した。

キャッシュフロー面でも負担が目立った。営業キャッシュフローは47億ドルだったが、設備投資が57億9000万ドルに膨らみ、フリーキャッシュフローは約10億9000万ドルの赤字となった。

TeslaはAIインフラや自動運転、Optimusのヒューマノイドロボット、生産能力の拡大など長期案件に巨額投資を続けている。市場の関心は、こうした投資が今後の売上高や利益の拡大につながるかどうかに集まっている。

高いバリュエーションも株価の重しとなっている。年初来で株価が下落した後も、直近12カ月実績ベースの株価収益率(PER)は300倍を超える水準にあるという。

予想PERはこれを下回るものの、既存の完成車メーカーはもちろん、主要ハイテク株と比べてもなお高水準とされる。

足元のTesla株には、電気自動車事業に加え、自動運転やロボタクシー、AI、ヒューマノイドロボットといった将来事業への期待が相応に織り込まれている。商用化や収益化が想定より遅れれば、株価の変動が一段と大きくなる可能性がある。

暗号資産市場では、Binanceのトークン化株式「TSLAB」もTesla株とおおむね連動した値動きとなった。TSLABは報道時点で約339.30ドルで取引され、24時間ベースでは約1%下落。取引高は92万8000ドルに迫った。

TSLABは適格利用者にTesla株への経済的エクスポージャーをトークン形式で提供する商品だが、Nasdaqで取引されるTSLAとは別の注文板で売買される。このため、流動性や気配値、取引時間、24時間騰落率の算出方法の違いから、一時的に価格が乖離する可能性がある。

今回のポイントは、90億800万ドルという金額そのものより、どの時点を基準にした試算なのかという点にある。この数字は7月23日の急落直後の評価益であり、8月時点の空売り勢の損益実態を示すものではない。

Tesla株であれTSLABであれ、焦点は共通している。TeslaがAIや自動運転、ロボット、生産設備に投じる巨額資金を、より高い収益性と安定したキャッシュフローへ結び付けられるかどうかだ。

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