政府と映画業界が、映画のホールドバックを巡る官民協議を月内に取りまとめ、自律協約を結ぶ見通しとなった。これとは別に、国会では劇場公開後6カ月、OTTなど他のプラットフォームでの提供を制限する法改正案も議論されており、消費者団体の反発を招いている。ホールドバック期間の在り方を巡っては、業界内外で意見が割れている。
業界関係者によると、文化体育観光部と映画振興委員会は5月から、「韓国映画流通構造改善のための官民協議体」を設置し、運営している。協議体では、ホールドバック制度のほか、韓国映画の収益構造の立て直しや、劇場とOTTなど流通プラットフォームの共存策について協議してきた。
協議体には、イ・ウン韓国映画製作者協会代表、イ・ファベ配給会社連帯代表、シン・ハンシク韓国映画館産業協会本部長、ユ・ヨンファ韓国IPTV放送協会会長ら、製作、配給、劇場、プラットフォーム各分野の関係者22人が参加している。
一方、国会では「6カ月ホールドバック」の法制化も別途進んでいる。イム・オギョン共に民主党議員は昨年9月、「映画およびビデオ物の振興に関する法律」改正案を代表発議した。劇場上映終了後6カ月が経過するまで、OTTなど他のプラットフォームで映画を提供できないようにする内容だ。
ホールドバックは、映画の劇場公開後、OTT、IPTV、VODなど別の流通チャネルで公開されるまでの猶予期間を指す。韓国では現在、全作品に一律適用される法定のホールドバック期間は設けられていない。
こうした議論に対し、消費者団体からは反発も出ている。官民協議体には消費者の意見を反映する仕組みがなく、現時点で消費者団体の関係者は参加していないという。
消費者主権市民会議は18日、国会で議論されている一律6カ月のホールドバック案に反対する声明を発表した。映画産業対策は、消費者の選択権や利便性を軸に整備すべきだと主張。官民協議体が自律協約案をまとめるにあたっても、国会の6カ月案を基準にすべきではないとの立場を示した。
ホールドバック期間の設定を巡っては、利害関係者の見解も分かれている。
国会文化体育観光委員会がイム議員の法案に関連してまとめた検討報告書によると、公正取引委員会は、映画産業の共生発展という立法趣旨には理解を示しつつも、劇場上映後6カ月までOTTサービスを制限した場合、競争制限につながる懸念が大きいとの見方を示した。
OTT向けの供給を制限すれば、サービスや事業者の選択肢が狭まり、消費者厚生が低下する可能性があるためだ。映画振興委員会も、一律のホールドバック期間を法律で定める案については、慎重な検討が必要だとしている。
特に中小規模の映画では、劇場公開後のIPTVやOTTなど後続流通で投資資金を回収する必要がある。このため、ホールドバックが長期化すれば収益機会が縮小し、新作製作を抑制しかねないとの見方がある。大作映画でも、劇場公開とIPTV配信の同時展開や、OTTへの先行販売など、すでに定着した流通戦略を制約する可能性があると指摘した。
映画業界内でも、適正なホールドバック期間を巡る立場は一致していない。劇場業界は、一定水準のホールドバックが劇場収益を支え、映画投資の好循環を維持するうえで必要だと主張する。一方、製作・配給側からは、作品規模や興行状況に応じて流通戦略を柔軟に設計できるようにすべきだとの意見が出ている。
海外でも、法律で一律のホールドバック期間を定める例は限られる。映画振興委員会は、フランスなど一部の国を除き、米国、英国、日本など主要市場では、業界交渉などを通じて公開時期を柔軟に調整していると説明した。
映画業界関係者は、「一律のホールドバックが、実際に映像コンテンツ産業の改善につながるのかをまず検証する必要がある」と指摘。「海外の主要市場が法制化ではなく業界の自主性に委ねている理由も確認すべきだ」とした。そのうえで、「ホールドバックは製作会社、劇場、OTTだけの問題ではなく、観客の選択権にも直結する。消費者の意見を十分に反映したうえで制度の方向性を決める必要がある」と述べた。