欧州中央銀行(ECB)のエコノミストは、人工知能(AI)ブームを背景に高値圏で推移する株式市場について、今後急激な調整が起きる可能性があると警告した。投資家の過熱が原因となる場合だけでなく、AIが経済成長や企業収益を押し上げる局面でも、株価下落は起こり得るとしている。
米CNBCが18日(現地時間)に報じたところによると、ECBのエコノミストは同日公表したブログで、過去の技術革新の事例を踏まえ、AI関連株の上昇相場の後に急反落が生じる可能性を指摘した。技術革命を巡る先行研究は、株式市場でバリュエーション調整が起き得ることを示唆していると分析した。
ブログでは、主に2つのシナリオを示した。1つは投資家の過熱だ。過度に自信を深めた楽観的な投資家が、株価を企業の本源的価値以上に押し上げ、その後に期待が崩れた時点で急落が起きるという見方だ。
もう1つは、AIが世界経済を変え、企業利益を押し上げるとの見通しが現実になるケースだ。この場合でも株価下落は避けにくいとみている。技術の普及が進むほど不確実性は個別企業の範囲を超えて経済全体に広がり、投資家がより高いリスクプレミアムを求めるようになるためだ。
ECBのエコノミストは、「技術導入が広がるほど不確実性は経済全体に拡散する」と説明。問題が生じた場合には「経済全体が打撃を受ける」とし、こうしたリスクプレミアムの拡大が、利益成長が堅調でも最終的に株価の重荷になり得ると分析した。
過去の例としては、19世紀の鉄道ブーム、1920年代の電気・ラジオ普及、1990年代のインターネット普及を挙げた。いずれも当初は強い成長期待を生んだ一方で、投資家の不安が拡大し、技術分野にとどまらず実体経済全体に衝撃が波及した点が共通するとした。AIブームが2000年代初頭のドットコム・バブルと比較される構図も、今回が初めてではないとしている。
その上で、どちらのシナリオでも最終的には「ブーム後の調整」につながり得るとした。過度な楽観によってバリュエーションが押し上げられた場合でも、成長見通しが実際に実現する場合でも、現在の水準から反落する可能性があるという。
一方で、調整後に相場が持ち直し、さらに上昇する可能性までは否定していない。「正確な時点を事前に見極めることはできない」「こうしたブームとバストのパターンは、多くの場合、事後的にしか確認できない」とも付け加えた。
ブログは、株価反落の波及経路にも注意を促した。欧州の個人投資家は、グローバル株価指数ファンドや年金ファンドを通じて、いわゆる「マグニフィセント・セブン(Magnificent Seven)」の組み入れ比率が高い資産を保有しているケースが多く、本人が意識しないままAI関連株へのエクスポージャーを高めている可能性があると指摘した。
急激な調整が、ファンドを通じた保有構造を経由して連鎖的な影響を生めば、ユーロ圏の金融安定を脅かしかねないとの見方も示した。ECBのエコノミストは「ドットコム期とは異なり、現在は利下げや財政出動によってショックを吸収できる余地がはるかに小さい」と述べた。