中国製EVは高関税下でも、Waymoの採用やメキシコ、カナダ経由の流通を通じて米市場への接点を広げつつある。写真=Shutterstock

中国製自動車の米市場参入が、想定より早まる可能性があるとの見方が強まっている。電気自動車専門メディアのCleanTechnicaは17日、メキシコやカナダ経由での流通に加え、Waymoによる中国製車両の採用、そして価格競争力の高さを背景に、中国車の存在感が米国内で増していると報じた。

象徴的な動きとして注目されているのがWaymoだ。ロボタクシー向け車両として、中国で生産されたZeekrの「オハイ」ミニバンを採用している。

車両は中国で製造された後、米アリゾナ州メサでWaymoの自動運転システムを搭載し、運用される。Waymoは、1台当たり127.5%の関税を課されても、従来使用してきたJaguarの「I-Pace」SUVよりコストを抑えられると判断したという。

Zeekrのオハイには、第6世代の先進運転支援システム(ADAS)を採用した。センサー構成はカメラ13基、LiDAR 4基、レーダー6基で、ハードウェアコストの削減に重点を置いた。

車体は両側スライドドア、低い乗降高、フラットフロアに加え、後席用のタッチスクリーン3台を備えるなど、乗員の利便性も意識した設計となっている。

米国北部の国境周辺でも変化が出ている。報道によると、カナダは新たな合意に基づき、年間5万台規模の中国製EVの輸入を始めた。

こうした車両がカナダで正式登録されれば、米国の道路でも合法的に走行できる可能性があるとされる。南側では、メキシコナンバーを付けたBYD車がサンディエゴ周辺でたびたび目撃された事例も紹介された。

米自動車業界でも、中国車の参入可能性への言及が出始めている。FordのCEO、ジム・ファーリー氏は2週間前、社内関係者に対し、中国車が5〜10年以内に米国へ入ってくる可能性は高く、備えが必要だと述べたという。

Automotive Foresightの代表、イェール・ジャン氏は、米国が中国車を永遠に締め出すことはできないと指摘した。米自動車メーカーは、消費者から「手ごろで高機能なEVを選べるようにすべきだ」との不満に直面する可能性があるとも語った。

さらに、メキシコとカナダの消費者が性能と価格競争力を備えたEVを受け入れれば、こうした圧力は一段と強まると付け加えた。

こうした見方の背景には大きな価格差がある。UBSは4月のリポートで、高関税が続いても、中国製EVは中長期的に米市場へ参入するとの見通しを示した。

UBSの2023年のリポートでは、中国メーカーのサプライチェーンと関連技術の競争力を背景に、BYDのEV製造原価は欧米の競合より35%低いと分析している。

中国乗用車協会の事務総長、ツイ・シュドン氏によると、2026年上半期の中国における新車EVの平均価格は3万6605ドルだった。

一方、Kelley Blue Bookによれば、米国でのEVの平均価格は2月時点で5万5300ドル。内燃機関車の新車平均価格も4万8800ドルに上る。

こうした価格差は、米消費者の側から中国車参入を求める圧力を高める要因になり得るとみられている。

中国勢も、米市場の可能性を完全に閉ざしているわけではない。Geelyは5月、Zeekr、Volvo、Polestarを擁するグループとして米国進出の可能性を排除せず、3年以内に判断すると表明した。

もっとも、短期的には中国メーカーも米中合弁各社も、米市場への直接参入には慎重姿勢を維持している。

BYDの国際事業統括、ステラ・リ氏は7月、米国で車を販売しなくても世界首位の目標は達成できると発言した。米市場を最優先課題とは位置付けていない考えを示した形だ。

それでも、メキシコやカナダ、さらにロボタクシー運用を通じた間接的な露出が増えれば、米国の消費者との接点は広がる可能性がある。

焦点は、米国の関税と安全保障規制が中国車の流入をどこまで遅らせられるかにある。米政府が直接販売を阻んでも、周辺市場や商用用途での導入を通じて、中国製車両が先に米国の道路で存在感を高める余地は残る。

価格競争力と商品力が維持されれば、中国車の米市場参入を巡る議論は一段と現実味を帯びそうだ。

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