ロシアのモスクワ証券取引所 写真=Shutterstock

モスクワ証券取引所(MOEX)は9月、ビットコインとイーサリアムの指数を原資産とする無期限先物2商品を上場する。ロシアでは9月1日にデジタル資産関連の新法が施行される予定で、暗号資産デリバティブの制度整備が加速している。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが17日付で報じた。MOEXはまず、ビットコイン指数とイーサリアム指数を原資産とする無期限先物をそれぞれ投入する。インタファクス通信によると、デリバティブ部門マネジングディレクターのマリヤ・パトリケエバ氏は、暗号資産関連商品のラインアップを順次拡充し、最大10商品まで増やす計画を明らかにした。

無期限先物は満期のないデリバティブで、ポジションを継続的に保有できるのが特徴だ。投資家は限月の乗り換えなしに建玉を維持できる。MOEXは2025年夏以降、専門投資家向けに月次物と四半期物の暗号資産先物を提供してきた。

このほかMOEXは、Amazon、AMD、Tesla、Netflixなど海外株を原資産とする無期限先物の導入も近く進める方針だ。デリバティブ部門では2026年に入って新規商品34件を投入しており、無期限先物の展開ペースも年内に一段と速まる可能性がある。

今回の動きは、ロシアの暗号資産規制の整備と歩調を合わせたものだ。ロシア中央銀行(CBR)は2025年5月、金融会社による暗号資産デリバティブの提供を認めた。MOEXはロシア最大の金融会社Sberとともに、早い段階で関連商品を導入した伝統的金融機関の一角とされる。当時は、高度な適格性を満たす投資家に限って、デジタル資産と関連デリバティブの売買が認められていた。

ただ、今夏にロシア議会を通過し、ウラジーミル・プーチン大統領が署名した「デジタル通貨およびデジタル権利に関する法」の主要条項が9月1日に施行されることで、投資家層は広がる。新法は暗号資産の投資と取引全般を規律するもので、非適格投資家にも一定の上限内で投資を認める。一方、一般投資家の投資上限は、仲介業者1社あたり年間30万ルーブルに制限される。

投資可能なデジタル資産の範囲も限定される。ロシア中央銀行は8月上旬、一般向けに取引を認める資産として、ビットコイン、イーサリアム、米ドル連動型ステーブルコインのUSDTのみを承認した。当局は、流動性や時価総額、世界全体での取引規模といった基準を満たす資産に限って、一般投資家の取引を認める方針だ。

もっとも、取引所は暗号資産の現物取引をいつ開始するかについては、なお明らかにしていない。現地メディアのBits.mediaは、取引所がデジタル決済向けの専用カストディーインフラの構築を進めていると報じた。

ロシアの新法では、2027年7月以降、すべての暗号資産取引を金融ブローカーや資産運用会社など、免許を持つ仲介機関経由で行う必要がある。既存の証券市場の保管機関に加え、新設されるデジタル保管機関が暗号資産の保管と会計処理を担う。ロシアの暗号資産市場は、デリバティブ拡大の段階から、取引、保管、決済を含む市場インフラ整備の段階へ移りつつある。

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