米証券取引委員会(SEC)が予定していた暗号資産関連の規制会合を延期した。CoinpostやCrypto in Americaは18日、ホワイトハウスが、議会で協議が進むクラリティ法案への影響を懸念し、延期を求めたと報じた。
報道によると、ホワイトハウスは、SECが検討していた暗号資産の資金調達ルールと、証券トークン取引に関する例外措置が、議会での法案審議を複雑にする可能性があると判断したという。
延期された会合では、暗号資産の資金調達に関する新ルール「Regulation Cryptoassets」の策定に向けた正式手続きの開始が議題となる予定だった。あわせてSECは、証券トークンについて、既存の開示規制や投資家保護規制の一部を適用せずに取引できるようにする「イノベーション向け適用除外措置」の検討も進めていた。
業界では、これらの措置が、暗号資産の資金調達とトークン化証券を同時に扱うクラリティ法案と密接に関わるとの見方が出ている。
今回の延期を巡っては、SEC内部の事務手続きよりも、政権側との政策調整が強く働いたとの見方がある。関係者は、ホワイトハウスが両規制の検討が法案審議に影響しかねないと判断し、延期を求めたと説明している。
クラリティ法案は9月中旬にも上院での採決を控えており、政権としては独自の規制措置を急ぐのではなく、立法論議との足並みをそろえようとした可能性がある。
背景には、金融業界の反発もあるとみられる。ウォール街の証券会社、投資銀行、資産運用会社が加盟する全米証券業金融市場協会(SIFMA)はこの1年、暗号資産企業や証券トークン関連企業に対する広範な規制緩和に反対してきた。
SIFMAは2025年6月の書簡で、適用除外やノーアクションレターによるルール変更ではなく、公開の意見募集手続きを経るようSECに求めた。広範な規制緩和は規制の抜け穴を生み、市場流動性の低下や投資家保護の後退を招く恐れがあるとも警告している。
訴訟リスクも、ホワイトハウスの判断に影響した要因として指摘されている。複数の関係者によると、SIFMAは、SECの措置が連邦証券法上の権限を逸脱すると判断した場合、提訴を検討していたという。
政権としては、議会審議、規制見直し、業界の反発が重なる局面で、不必要な法的対立を避けようとした可能性がある。
こうした中、米政府と暗号資産業界の政策対話は今週も続く見通しだ。20日にはホワイトハウスで関連イベントが予定されており、ポール・アトキンスSEC委員長とマイケル・セリックCFTC委員長が出席する。
また、ブライアン・アームストロングCoinbase CEO、ブラッド・ガーリングハウスRipple CEO、アルジュン・セティKraken共同CEOら、暗号資産、予測市場、伝統金融の関係者も参加する見通しだ。ドナルド・トランプ米大統領も発言するとみられている。
21日には、セリック委員長がCFTCイノベーション諮問委員会の初会合を主宰する。議題には暗号資産規制のほか、人工知能(AI)、エージェント型金融の役割拡大、予測市場が含まれる。
今後の焦点は、SECが延期した会合をいつ再設定するか、そしてクラリティ法案の9月中旬の採決日程が固まるかどうかだ。SECのルール策定と議会の立法論議にずれが生じれば、米国の暗号資産規制の先行き不透明感が再び強まる可能性がある。
一方で、ホワイトハウスと規制当局、議会の間で日程調整が進めば、暗号資産の資金調達とトークン化証券を巡る制度の枠組みが一体的に整理される可能性もある。