商いとボラティリティ、資金フローの鈍化が同時に進むビットコイン市場(写真=Shutterstock)

Grayscaleは17日、ビットコイン市場について、出来高とボラティリティの低下が同時に進み、2023年夏に近い停滞局面に入っているとの見方を示した。1カ月物のインプライド・ボラティリティ(IV)は32%まで低下し、米国のビットコイン現物ETFも週間で3億8500万ドル(約578億円)の純流出となった。

同社はレポートで、年初の大きな値動きの後、この夏のビットコイン市場は落ち着きを強めていると分析した。現物市場の出来高と実現ボラティリティはサイクル底水準まで低下し、材料に対する市場の反応も鈍っているとした。オプション市場でも同様の傾向がみられ、1カ月物IVは年初来平均の42%を下回る32%まで低下。主要な材料はおおむね織り込まれた可能性があると指摘した。

一方で、こうした静かな相場が長く続くとは限らないともみている。Grayscaleは、足元と同様に出来高とボラティリティが大きく縮小した前回の局面として2023年夏を挙げた。当時のビットコインは弱気相場の終盤にあり、夏場を通じて狭いレンジ内で推移。投資家は相場を動かす新たな手掛かりを待つ状況だったという。

その後は、前サイクルからの売り圧力が和らぐにつれてビットコインがレンジを上放れし、10月から年末にかけて約50%上昇した。Grayscaleは、今回のきっかけとなる材料そのものは当時と異なるものの、取引の細りとボラティリティの圧縮が進むなかで、マクロ政策や規制の方向性の明確化を待つ構図は共通していると評価した。

もっとも、現在の停滞がそのまま強気シグナルを意味するわけではない。Grayscaleは、停滞だけを理由に強気判断はできないとしつつ、2023年夏のように水面下で重要な転換が進んでいる可能性にも言及した。足元の値動きは売り圧力の一巡を映している可能性があり、過去の基準と比べれば、ビットコインは売られ過ぎ圏にあるとの見方も示した。

市場データも同様の方向性を示している。Bitfinexは、ビットコインのボラティリティ、取引活動、市場流動性が、過去の弱気相場末期に匹敵する水準まで縮小したと分析した。ビットコインは狭いレンジで推移し、現物出来高もここ数年で最も低い水準に落ち込んだ。オンチェーンでの資金移動の頻度も7年ぶりの低水準まで下がったという。

価格水準では、実現価格の中央値である6万3200ドル近辺は維持されている。一方、短期保有者の損益分岐点とされる6万7176ドルは重要な節目とされた。この水準を軸に、短期需給の変化が相場の方向感を左右する可能性があるとしている。

資金フロー面では弱気寄りのシグナルも出ている。米国のビットコイン現物ETFでは、週間で約3億8500万ドル(約578億円)が流出した。企業によるビットコイン保有動向も減少に転じた。現物ETFからの資金流出と企業保有の減少が同時に進んでいる点について、足元の停滞が単なる取引低迷にとどまらない可能性を示すとしている。

市場では、出来高の回復とボラティリティの拡大を促す新たな材料待ちの局面が続いている。Grayscaleが指摘するように、足元の相場は2023年夏に似たパターンを示しているが、実際に方向転換へ向かうかどうかは、売り圧力の緩和や資金フローの改善、政策・規制環境の変化がどこまで明確になるかが焦点となる。

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