Ethereum 写真=Shutterstock

Ethereumネットワークの次期大型アップグレード「Glamsterdam」が、当初想定より後ろ倒しとなる見通しだ。開発陣は新たな公開テストネット「Platåberget」を立ち上げた一方、後続アップグレード「Hegotá」については、2027年の実装を視野に採用提案の絞り込みを進めている。CryptoSlateが8月17日、と報じた。

Glamsterdamの実施時期は2026年第4四半期にずれ込んだ。年初時点では、Ethereum財団がGlamsterdamを2026年上半期、Hegotáを同年下半期に実施する見通しを示していたが、今回の調整で全体日程は一段後ろにずれた格好だ。

もっとも、Glamsterdam向けの公開テスト環境が整ったのは最近になってからだ。新テストネットのPlatåbergetは、数カ月にわたって運用した後、SepoliaとHoodiの長期テストネットへ検証範囲を広げる予定としている。

Platåbergetは、短期間の運用を前提とした従来の開発用ネットワークとは異なり、比較的安定した環境でアップグレードの影響を検証することに重点を置く。Glamsterdamの適用に伴い、一部アプリケーションで互換性の問題が生じる可能性があるためだ。

焦点はすでに、後続のHegotáにも移っている。Ethereum研究者のトニー・バルシュテッター氏は8月16日時点で、Hegotáに関連する66件の提案を検討していると明らかにした。

ただ、そのすべてが2027年実装の対象となるわけではない。実装準備が進み、開発用ネットワークやテストネットでの検証段階まで到達できる提案は一部にとどまる可能性が高いという。

スケジュールにも余裕はない。8月13日の「All Core Devs」会議で共有された日程に基づくと、開発陣は約2週間以内に候補を選定する必要がある。

Hegotáに組み込む提案のリストは、8月27日ごろに固まる見込みだ。明確な推進主体がない提案は、優先順位が下がる可能性が高い。

各クライアントチームは9月10日までに、優先する提案の一覧を提出する必要がある。

現時点でコンセンサス層の有力案件として固まっているのは、FOCIL(EIP-7805)だ。検証者委員会が特定の取引をブロックに含めるよう求められるようにし、一部の専門ビルダーが有効な取引を意図的に排除する問題の抑制を狙う。

一方、EIP-8141「Frame Transaction」はなお検討段階にある。

バルシュテッター氏は、Frame TransactionはFOCILとあわせて採用すべきだと主張した。さらに、EIP-8250「Keyed Nonces」やEIP-8272「Recent Roots」を加えることで、プライバシー関連アプリケーションの仲介者依存を下げられると説明している。

Frame Transactionは、取引の検証・実行・手数料支払いの一部機能を切り分け、アカウントの動作をより柔軟にする構想とされる。

スケーラビリティ関連の提案も、限られた実装枠を巡って競合している。EIP-8131とEIP-8279は取引およびブロックデータの価格体系の調整、EIP-8368は状態増加に伴うコスト調整を扱う。

こうした議論は、Ethereumが長期的にガス上限を6億まで引き上げる案を検討している流れとも連動する。このほか、EIP-8198「Quick Slots」、ETH発行量や検証者ペナルティの調整、EVM改善案、zkEVMや量子耐性に関する提案なども候補に挙がっている。

6月に発足した独立系のEthereum研究機関Ethlabsも、Hegotáの選別作業に見解を示している。EthlabsはQuick Slotsを「より速いEthereum」実現の第一歩と位置付け、スロット時間を短縮すれば取引確定の速度やブリッジ、相互運用性の改善につながると主張した。

同時に、EthlabsはFOCILとFrame Transactionへの支持も表明した。検閲耐性、すなわち「オープン性」をEthereumの中核的価値と位置付け、Frameについてはレイヤー1における有力なネイティブのアカウント抽象化提案だと評価している。

ただし、レイヤー2でもアカウントがチェーン間で一貫して機能するようにするには、Frameに相応の補完が必要だとも付け加えた。

一方でEthlabsは、Hegotáに過度に多くの提案を一度に盛り込むべきではないとも強調する。Hegotáは実行層中心のアップグレードとなる可能性が高いため、追加の実行層提案には高い基準を設け、コンセンサス層はFOCILとQuick Slots程度に範囲を絞るべきだとの立場だ。

一部提案については除外を勧めている。EthlabsはEIP-8375について、予期せぬ副作用を招く恐れがあると警告した。

EIP-8375は、Ethereumが進める提案者・ビルダー分離の仕組みに関し、外部ビルダーの入札価値の一部を焼却する案だ。ただ、Ethlabsは、かえって迂回的な支払いを増やす可能性があるとみている。

EIP-8182も優先度は低いとの評価を受けた。非公開のETHおよびERC-20送金を可能にする一方で、ゼロ知識技術への依存を持ち込む大きな変更となるため、Hegotáではなく将来の別の大型アップグレードで扱うべきだという立場だ。

結局のところ、Hegotáの課題は提案数の不足ではなく、採用候補の絞り込みにある。個別には有用な提案が多くても、一度に盛り込みすぎれば実装やテストの負荷が増し、アップグレード日程が2027年以降へ再びずれ込むとの懸念が強まっている。

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