ビットコイン現物ETFから先週、3億8500万ドル超が純流出した。前週は8億6500万ドル超の資金を集めており、資金動向は一転した。ただ、ビットコイン価格は6万4000ドル台を維持しており、相場は今のところ大きく崩れていない。
17日付のブロックチェーンメディア「Bitcoin Magazine」によると、8月初旬の上昇局面を経て、主要なビットコイン現物ETFでは資金流出が加速した。
Farside Investorsの集計では、先週のビットコイン現物ETFの純流出額は3億8500万ドル超に達した。前の週は連日資金が流入し、週間では8億6500万ドル超と、4月以降で最大の流入を記録していた。
資金が流出に転じた後も、ビットコイン相場は比較的落ち着いている。足元では6万4000ドル台で推移しており、過去1週間と30日間で見ても値動きは限定的だ。ETFからの資金流出が直ちに相場急落につながったわけではない。
7月末までは、悪材料に対する市場の反応も限定的だった。7月31日にはColdcardを巡るハッキングでソフトウェアの脆弱性が表面化し、多額のビットコインが盗まれたものの、投資家心理への影響は限られた。暗号資産業界が注目していたクラリティ法案の採決延期が伝わった後も、ETFへの買いは続いていた。
しかし、先週に入って流れは変わった。中東情勢の緊張が再び高まり、投資家心理が悪化。主要ETFから資金流出が広がった。なかでもBlackRockのiShares Bitcoin Trust(IBIT)とFidelityのWise Origin Bitcoin Fund(WBTC)の流出額が大きかった。一方、4月に設定されたMorgan Stanleyのファンドには純流入がみられた。
マクロ環境も重荷になっている。米国とイランを巡る戦闘の長期化や原油高は、インフレ再燃への懸念を強めかねない。ビットコインは一般に、物価上昇の鈍化で利下げ期待が高まる局面では買われやすい。一方で、戦闘長期化に伴って物価圧力が再び強まれば、リスク資産全体の上値は重くなる可能性がある。
ビットコインは、ドナルド・トランプ米大統領がイランとの合意の可能性に言及した局面で、株式市場と歩調を合わせて一時反発した。ただ、戦闘はなお続いている。今回のETF資金流出は、短期的な利益確定売りに加え、マクロ経済の先行き不透明感が重なった動きとみられる。
年初来のパフォーマンスも重しだ。7月に公表されたNYDIGの報告書は、ビットコインについて、米国債や銀、スイスフランなどと比べて「年初来で最も不振な資産」になったと指摘した。過去の下落局面と似た流れが繰り返される場合、サイクル上の下値余地は3万8000〜3万9000ドル近辺まで広がる可能性があるとの見方も示している。
市場の次の焦点は、今回の資金流出が一時的な調整にとどまるのか、それともマクロ不安と重なって資金流出の長期化につながるのかにある。価格はなお安定しているものの、足元の資金動向は、投資家のリスク選好が急速に変化し得ることを示している。