米Anthropicの年換算売上高(ARR)が、7月末時点で650億ドル(約9兆7500億円)に達した。米CNBCが17日(現地時間)に報じた。前年の約7倍に当たり、競合するOpenAIの約400億ドル(約6兆円)を上回る水準だ。企業向けAI需要の拡大を追い風に成長が加速しており、IPO準備の進捗や規制対応力にも関心が集まっている。
この数字は、週末に投資家向けに共有された最新資料に盛り込まれたという。Anthropicは企業向け市場で需要を急速に取り込み、事業規模を拡大している。
IPOに向けた動きも進んでいる。6月には米証券取引委員会(SEC)に有価証券届出書を非公開で提出し、潜在投資家との事前協議も進めているとされる。ただ、上場時期は明らかにしていない。
業績の伸びは足元でも続いている。報道によると、Anthropicは第2四半期の暫定的な売上高として115億ドル(約1兆7250億円)を示した。前年同期比では14倍に当たる。5月時点ではARRが470億ドル(約7兆0500億円)を超えたとされ、2025年通年の売上高は約100億ドル(約1兆5000億円)だった。
競合比較でも成長の勢いは目立つ。OpenAIのARRは直近で400億ドルに達したと伝えられているが、Anthropicはこれを上回る水準を投資家に示した。企業向けAI市場での拡張性の高さを印象づけた格好だ。
一方で、市場の視線は成長率だけに向いているわけではない。Anthropicには965億ドル(約14兆4750億円)の企業価値に見合う成長の持続と、事業の安定性を投資家に示すことが求められる。
事業運営を巡る不透明要因もあった。6月には、政府の輸出規制指針に従うため、最上位モデル2種の「Claude Fable 5」と「Mythos 5」へのアクセスを一時停止した。報道では、政府側はその理由として「国家安全保障当局」に言及したという。
その後、Anthropicは約2週間にわたる協議を経て、両モデルの提供を再開した。ただし、この対応で行政府との関係を巡る不確実性が解消されたわけではない。Anthropicは当時のブログで、「政府との協力をさらに深めていくことを期待している」としたうえで、「停止期間中に辛抱強く待ったユーザーに感謝する。研究者と業界パートナーの支援により、Fable 5とMythos 5の提供を再開できた」と説明した。
AnthropicのIPOプロセスでは、売上成長に加え、規制リスクへの対処能力も見極められる見通しだ。企業向けAI需要の拡大が続くなか、高成長を維持しつつ政策要因による変動をどこまで吸収できるかが、次の焦点となる。