ビットコインは6万4000ドル台を回復したものの、週足では200週移動平均線(SMA)を下回って取引を終えた。長期トレンドの維持に対する警戒感はなお強く、今週は米連邦準備制度理事会(FRB)の7月会合議事要旨や日銀の金利動向、ビットコイン現物ETFの資金フロー、大口保有者の取引所送金が相場の焦点となる。
Cointelegraphによると、ビットコインは先週前半に6万3000ドル前後で推移したが、週後半には長期の重要なサポートとされてきた200週移動平均線を再び割り込んだ。
市場では、反発の有無よりも週足ベースで長期トレンドラインを下回った点が重視されている。アナリストのベンジャミン・コーウェンは、2022年と2026年夏のいずれも、200週移動平均線を急落で下抜けた後にいったん反発し、8月中旬に再び同水準を割り込む似たパターンが見られたと指摘した。
Rekt Capitalも、週足終値が同氏の注目水準である6万3220ドルに届かなかったとの見方を示した。6万3220ドルで上値を抑えられる展開が続けば、下方向へのブレイクが確認され、5万8000ドル〜6万6000ドルのレンジ内で一段安となる可能性があるとしている。
マクロ面では、米国の製造業・サービス業購買担当者景気指数(PMI)速報値に加え、FRBの7月会合議事要旨の公表が控える。短期的な相場の方向感を見極めるうえで、いずれも重要な材料となる。
直近の米消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)は、市場予想よりも落ち着いたインフレ動向を示した。これを受け、追加利上げ観測は後退している。
CMEのFedWatchによると、政策金利が3.50〜3.75%に据え置かれる確率は約70%で、1カ月前の42%から上昇した。
Mosaic Asset Companyは、足元の物価指標がインフレ鈍化を示し、金融政策見通しが過度にタカ派へ傾くのを抑えていると分析した。一方、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げ見送りを巡る意見の隔たりが大きく、1970年以降で最も高い水準だったとしている。
日本の金利動向もリスク資産市場の重荷になり得る。日本の4〜6月期の国内総生産(GDP)は前期比0.3%増、前年同期比1.1%増にとどまり、市場予想を下回った。民間消費も8四半期ぶりに減少した。
市場では、日銀が9月に政策金利を現行の1.0%から追加で引き上げる可能性が織り込まれている。日本の10年国債利回りは17日に2.93%まで上昇し、1996年以降で最高水準を付けた。
CryptoQuantのアナリスト、アクセル・アドラー・ジュニアは、現時点でリスク資産に明確な売りシグナルが出ているわけではないとの見方を示した。その一方で、日本国債利回りが3%を上回る局面で、日銀の追加利上げや円高、米国債利回りの上昇が重なれば、日本の金利正常化が世界的な金融環境の引き締めにつながり、株式とビットコインの重荷になる可能性があると警告した。
需給面でも追い風は乏しい。Glassnodeは、米国株が過去最高値圏を維持する一方、消費者心理は過去10年で最も弱い水準に近づいていると指摘した。
資金は人工知能(AI)関連を中心に流入しているが、ビットコインはその流れから取り残されているという。Glassnodeは、地合いが改善するにはビットコイン現物ETFに機関投資家マネーが再び流入する必要があるとみている。
ただ、先週のビットコイン現物ETFは2億6720万ドルの純流出となった。5営業日のうち純流入となったのは1日のみで、その額も780万ドルにとどまった。
資金フローが回復しない限り、ビットコインは株式市場の上昇局面でも恩恵を受けにくい構図が続いている。
取引所の需給も警戒材料だ。CryptoQuantは、足元の取引所流入分に占める大口保有者の比率が高まっていると分析した。Binanceにおけるクジラ比率は8月10日に0.71まで上昇し、3月初旬以来の高水準を記録した。
CryptoQuantは、取引所への入金が直ちに売却を意味するわけではないものの、売買やヘッジに使われ得るビットコインの量を増やす要因になると説明した。
Binanceのビットコイン保有量は16日時点で67万4332BTCだった。月初来では2.57%増加し、2025年11月以降で最も高い水準だという。
6月初旬以降、ビットコイン価格が狭いレンジで推移するなか、取引はデリバティブ市場主導の展開が続いた。8月初旬にはBinanceの先物取引高が現物の8倍に達した。
今週のビットコイン市場では、200週移動平均線割れが一時的な下振れにとどまるのか、それとも2022年のような追加下落のシグナルとなるのかが最大の焦点となる。FRB議事要旨、日銀の利上げ観測、現物ETFの資金フロー、大口保有者の取引所送金が、短期的な方向感を左右する主要材料となりそうだ。