写真=サイモン・ウィリソン氏のXアカウントより

Alibabaは、高性能なMacBook ProやMac Studioでローカル実行できるマルチモーダルAIモデル「Qwen3.8-27B」をオープンソースで公開した。Alibabaは独自ベンチマークで、Anthropicの「Opus 4.6 Max」に匹敵する性能だと説明している。

このモデルを実際に試したのが、データ探索ツール「Datasette」の開発者で、PythonのWebフレームワーク「Django」の共同開発者としても知られるサイモン・ウィリソン氏だ。同氏はレビューの中で、Qwen3.8-27Bの性能そのものは高く評価した一方、初期設定には課題があると指摘した。

Qwen3.8-27Bは270億パラメータのモデルで、一般的なノートPCでも扱える規模とされる。画像認識にも対応し、オープンソースとして無償で利用できる。

ウィリソン氏によると、同モデルは応答前に内部で推論を進める仕組みを備えているが、初期値が「深く考える(xhigh)」に設定されている。このため、単純な質問でも必要以上に時間がかかるという。

同氏は例として、「自転車に乗るペリカンを描いてほしい」と依頼したところ、モデルは21分かけて画像を1枚生成したと紹介した。仕上がりは精巧で、自転車フレームの形状も正確、ペリカンの脚も左右とも自然に描かれていたものの、「21分は長すぎる」と評している。

同じ依頼を「深く考える」機能をオフにして実行すると、応答時間は約2分まで短縮した。一方で、画像の完成度は下がったという。

画像内の物体位置を座標で特定するテストでも、一定の性能を示した。ペリカンの写真を渡して位置を座標で示すよう求めたところ、モデルは正確な座標を提示。結果確認用のツール作成まで指示すると、依頼していないサンプル画像機能まで追加したという。

コード生成やソースコードの直接修正を担う「コーディングエージェント」としても、十分に機能したとの評価だ。実際のプロジェクトフォルダを渡して「ログイン機能がどう動くか説明してほしい」と求めたところ、複数のファイルを自ら探して読み込み、正確に回答したとしている。

一方で、速度面は課題として挙げた。同氏は「高性能ノートPCや専用機器で動かしても、応答速度は遅い部類だ。特に『深く考える』をオンにすると、体感ではさらに遅くなる」とした上で、「公開から2日で、開発者コミュニティが速度を70%以上引き上げる方法をすでに見つけたのは幸いだ」と述べた。

総評として同氏は、「17GBの単一ファイルでこれだけの処理をこなせるのは驚きだ。1年前なら、この水準の性能は高価な商用AIでしか実現できなかったが、今ではノートPC1台でも十分だ」とコメント。さらに、「初期設定を下げて使うなら、現時点のローカルAIでも最高水準の1つだ」と評価した。

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