写真=Reve AI

人工知能(AI)業界で、兆ドル級のIPOを視野に入れた競争が熱を帯びている。AnthropicとOpenAIはいずれも大型上場候補と目されるが、投資家が見極める論点は異なる。Anthropicは将来の売上高見通しで高い評価額の妥当性を示せるか、OpenAIは相次ぐ幹部離脱のなかで組織の安定性を保てるかが焦点だ。

暗号資産メディアのCryptopolitanが15日(現地時間)に報じたところによると、両社はともに最大1兆ドル規模のバリュエーションを狙っている。

■ Anthropic、将来収益を軸に評価額の妥当性示す構図

Cryptopolitanによれば、Anthropicは上場準備に関わる実務チームに対し、2028年の売上高を1900億〜2000億ドルと見込んでいることを示したという。こうした数値が明らかになるのは初めてだ。

Reutersによると、今回の案件に関与する銀行や投資家は、将来の売上高見通しを前提に、企業価値対売上高倍率(EV/Revenue)でAnthropicの評価額を算定している。

Anthropicの5月時点の年換算売上高は470億ドルだった。2028年目標を達成するには、ここから売上高を約4倍に伸ばす必要がある。5月の650億ドルの資金調達時に付いた評価額は9650億ドルで、これを2028年の目標売上高と比較すると倍率は4.8〜5.1倍となる。Palantirの約53倍、SpaceXとCloudflareの41.6倍と比べれば、むしろ低い水準にとどまる。

上場前に長期の売上高見通しを投資家に示した例は、Cerebras SystemsやSpaceXにもある。Anthropicは6月、米証券取引委員会(SEC)に非公開で上場申請書を提出した。主幹事はGoldman SachsとMorgan Stanleyが務めている。

■ OpenAI、幹部流出で組織運営に不透明感

一方のOpenAIでは、組織の安定性が最大の論点になっている。最高収益責任者(CRO)のデニース・ドレッサー氏は、入社から8カ月で辞意を示した。後任には、Wizの社長兼最高執行責任者(COO)を務めるダリ・ラジック氏が就く。

このほか、ブラッド・ライトキャップ前COO、倫理責任者のクロエ・バカラ氏、コミュニケーション・マーケティング統括のケイト・ラウチ氏も相次いで退社した。ロボティクス責任者だったケイトリン・カリノフスキ氏は、競合のAnthropicに移っている。

さらに、安全システム責任者のヨハネス・ハイデッケ氏も7月に退社した。報道によれば、OpenAIはこれに前後して大災害リスク評価チームを廃止し、関連業務を既存部門へ移管したという。

共同創業者のグレッグ・ブロックマン氏は、一連の人事を「戦略的な再編」と位置付け、運営権限を拡大している。ただ、社内では経営幹部の交代が相次ぐ状況や、安全分野の人材流出を組織不安の兆候と受け止める向きもある。OpenAIは当初、年内の上場を検討していたが、来年にずれ込む可能性が高まっている。

足元の売上高の伸びも対照的だ。OpenAIの年換算売上高は今月、240億ドルから約400億ドルへ拡大した。一方、Anthropicは昨年末の90億ドルから5月には470億ドルへと5倍超に伸び、成長ペースで先行している。

両社のIPOが抱えるリスクは異なる。Anthropicはコスト増を上回るペースで売上高を拡大できるかが問われる。OpenAIは中核幹部を引き留め、組織を安定させられるかが焦点となる。投資家が最終的に見極めるのは、売上高の大きさそのものではなく、その目標を現実に変える実行力だ。

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