トマシュ・トゥングズ氏(画像は同氏のXアカウントより)

Amazonのアンディ・ジャシーCEOは、Amazon Web Services(AWS)が長期的に売上高1兆ドル規模の事業へ成長し得るとの見方を示した。足元の業績は拡大が続くが、今後の成長を左右するのは企業によるAI活用の広がりだ。

ジャシーCEOは直近の第2四半期決算の発表後、AWSについて「長期的には売上高1兆ドル規模の事業になり得る潜在力がある」と述べた。これまで想定していた数千億ドル規模という見方から、成長余地の認識を大きく引き上げた格好だ。

AWSの第2四半期の年換算売上高は1690億ドル。増収率は36.7%で、18四半期ぶりの高い伸びとなった。5四半期前の17%から、約1年で37%近くまで伸びたことになる。

シリコンバレーのベンチャーキャピタルTheory Venturesの創業者兼マネージングパートナー、トマシュ・トゥングズ氏はX(旧Twitter)への投稿でジャシーCEOの発言を取り上げ、「AWSが売上高1兆ドルを達成できるかどうかは、企業顧客がAIをどこまで活用するかにかかっている」と指摘した。AIインフラ需要が想定通り拡大すれば1兆ドル超えも視野に入る一方、企業のAIシフトが鈍ければ、先行投資や借入負担がAmazonの重荷になりかねないとの見方も示した。

トゥングズ氏によれば、AWSはMicrosoftと比べても増収率の改善が鮮明だ。AWSの成長率は直近6四半期で20ポイント上昇した。Microsoft Azureの成長率が足元で40%前後の水準にあるのに対し、AWSはその差を急速に縮めつつあるという。

収益性の高さもAWSの強みとされる。トゥングズ氏は、第2四半期のAWSの営業利益が前年同期比64%増の166億ドルとなり、営業利益率も前年から6.5ポイント上昇して39.4%に達したと説明した。売上規模が大きい中でも高成長を維持し、高い収益性を確保していると分析している。

一方、将来需要を映す受注残高ではMicrosoftに後れを取る。AWSの受注残高は4960億ドルと、3カ月前の3640億ドルから増えたものの、Microsoftの6780億ドルには届かなかった。トゥングズ氏は、OpenAIとの大型契約をいち早く確保したMicrosoftが、AIインフラ需要を先行して取り込んだ結果だとみている。

AmazonはAIインフラ投資も積み増している。2026年の資本支出計画は、メモリ価格の上昇などを理由に、従来の2000億ドルから2200億ドルへ引き上げた。資金確保に向けて、今年は債務発行も拡大している。

これに対しジャシーCEOは、現在の投資は将来の収益機会として回収できるとの考えを示している。

トゥングズ氏によると、データセンターは稼働前に約2年の資本投資を要する一方、稼働後は30年以上使える。サーバーも数年にわたって運用される。AI需要が長期にわたって続けば、足元の大規模投資は将来の高収益につながる可能性があるという。

ジャシーCEOはAI市場の構造について、大規模な計算資源を必要とするAIモデル開発企業と、コスト削減を重視する企業の両極に需要が広がる「バーベル型」だと説明した。そのうえで、この中間に位置し、まだAI推論を広範に導入していない既存企業の業務領域こそ、今後最大の市場に成長し得るとの見通しを示した。

もっとも、この市場が現在のAI開発企業向け需要と同じ速度で立ち上がるかどうかは不透明だ。トゥングズ氏は、ジャシーCEOもその点を認めたと伝えている。

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