Strategyのマイケル・セイラー会長は、ビットコインを「デジタル資本」、TetherのUSDTを決済通貨と位置付ける多層型の「デジタル金融インフラ(Digital Finance Stack)」構想を公表した。ビットコインとステーブルコインの役割を分けたうえで、その中間に同社の構造化商品を組み込む設計だ。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが13日(現地時間)に報じた。セイラー氏は、USDTをエコシステム内の主要な取引ゲートウェイとして位置付けたという。
構想の中核にあるのは、ビットコインとステーブルコインの機能分担だ。価格変動の大きいビットコインはデジタル資本であり、最終的な価値保存手段とみなす。一方、日常決済や迅速な送金は、価格が安定したUSDTが担う想定としている。
これは、ビットコインの決済利用が限定的だという課題を、USDTの統合によって補う形でもある。
中間層には、Strategyが開発した構造化金融商品を据える。STRCは、同社のビットコイン担保型優先株で構成する準安定型の固定利回りクレジット商品。SR-strcUSXは、法定通貨の安定性と債券市場の利回りを組み合わせることを狙ったハイブリッドトークンと説明している。
最上位の「デジタル持分(Digital Equity)」は、こうした各層を単一の事業として接続する役割を担う。
セイラー氏はあわせて、ビットコインの活用領域を広げる必要性も強調した。ビットコインをデジタル資本になぞらえ、イノベーションによって資本がクレジット、マネー、通貨へと変換されていくとの考えを示した。
この構想では、フィンテック企業が決済やクレジット商品を運営して収益を得て、投資家は持分の取得を通じてその収益の一部を共有できるとしている。
今回の構想は、Strategyの足元の財務運営とも無関係ではない。同社は最近の報告書で、今夏に6948BTCを4億3250万ドル(約648億7500万円)で売却したと公表した。
これは配当支払いと流動性確保のための措置とされるが、市場では、同社が従来掲げてきた「売却しない方針」を崩した初の事例として受け止められた。
こうした中、新たな枠組みは、Strategyが保有するビットコインの活用方法を見直す試みとみられる。同社は84万447BTCを保有しており、セイラー氏はこれを決済やクレジットを生み出す金融ツールへ接続しようとしている。
もっとも、経営陣はビットコインの買い増し方針自体を撤回したわけではないと強調する。ポン・レCEOは今週、Strategyが2026年末までに純買い越しへ回帰するとの見通しを示した。
今回の発表は、巨額のビットコイン保有を単なる高ボラティリティ資産として抱えるのではなく、事業化可能なフィンテック基盤へ再構成する方向性を示した点で注目される。
セイラー氏はこの構想の中で、デジタル資産を通貨のスペクトラムとして整理した。BTCを「デジタル資本」、STRCを「デジタルクレジット」、SR-strcUSXを「デジタルマネー」、USDTを「デジタル通貨」と位置付けている。左から右へ進むにつれて、ボラティリティと収益機会は低下し、安定性と取引上の実用性は高まるという。