米国防総省は、対ドローン装備を調達するための閉鎖型オンライン市場を拡大した。利用者を承認済みの購入者に限定した上で、今後は人工知能(AI)を活用し、脅威の内容や予算、作戦環境に応じた装備構成を提案する機能も導入する方針だ。
TechRadarが13日(現地時間)に報じたところによると、このプラットフォームは、米国の合同省庁間タスクフォース401(JIATF 401)が運営する対無人航空システム(C-UAS)向けの調達基盤だ。現時点では事前承認を受けた購入者のみが利用でき、一般の第三者は登録製品や在庫の内容を確認できない。
今回の拡大は、2月から非公開で進めてきた調達実証の対象を広げるもの。利用できるのは、連邦政府の調達担当者や軍の指揮機関、さらに事前承認を受けた同盟国・協力国の国防当局関係者に限られる。アクセス権を持つ利用者であっても、輸出管理上の区分に応じて閲覧可能な情報は異なる。
供給側の企業にも別途審査が課される。企業としての適格性確認や製品評価、輸出管理規制への準拠などを満たした企業だけが装備を登録できる。対ドローン装備の性能や限界が外部に漏れれば作戦に影響しかねないため、情報へのアクセスそのものを制御する仕組みとした。
開発と運営は、ニューヨークのソフトウェア企業Kaizen Laboratoriesが担う。同社は1500万ドル規模の試作契約に基づいてシステムを構築している。取扱額はなお初期段階にあるものの、増加傾向にある。JIATF 401によると、累計購入額は4月の1300万ドルから、8月初めには2100万ドルへ拡大した。
Kaizen Laboratoriesは現在の状況について、「スロー・ローンチ」の段階にあると説明している。少量の発注を通じて、調達や製品審査の手続きが適切に機能するかを検証した上で、利用範囲を順次広げる考えだ。短期的な取引拡大よりも、調達体制の安定性と安全性の確認を優先している。
今後はAI機能も追加する。Kaizen Laboratoriesは、脅威プロファイルや予算、作戦準備の状況、運用環境などを入力すると、AIが市場内の製品を分析し、対ドローン対応に必要な戦力構成を提案する機能を準備している。8月初めの時点では、同機能は数日以内に稼働を始める予定だとしていた。
この機能が実装されれば、購入者は多数の装備を個別に比較する代わりに、作戦環境に合った組み合わせをAIから提示してもらえるようになる。単体装備の販売にとどまらず、探知、追跡、識別、無力化までを含む、いわゆる「キルチェーン」全体の構成を提案する仕組みになる見通しだ。
利用対象も広がっている。米国が協力国として公に言及した国には、オーストラリア、ポーランド、韓国、英国、ルーマニアなどが含まれる。ダン・ドリスコル米陸軍長官は、州政府や地方の捜査機関も利用対象に加えられていると述べた。
こうした調達体制の整備を進める背景には、ドローン脅威の急速な変化がある。従来の複雑な調達手続きだけでは、新たな脅威や装備需要に機動的に対応しにくいとの判断だ。AIによる提案機能が実際の購買判断にどこまで結び付くか、また限定公開の枠組みを維持しながら、米国と同盟国の共同調達基盤としてどこまで広がるかが注目される。