BitMine Immersion Technologiesがイーサリアム(ETH)の買い増しペースを大きく落としている。最大級の企業買い手の需要鈍化として、ETH市場の需給を左右する要因と意識され始めている。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、BitMineは12日(現地時間)、最新の開示で流通するETHの4.8%を保有していると公表した。
先週は7391ETHを追加購入した。買い増しは58週連続となったが、週間の購入量としては年初来で最小だった。年初には週10万ETH超を買い進める時期もあり、足元では購入ペースの鈍化が鮮明になっている。
こうした動きは事前に示唆されていた。Fundstrat共同創業者でBitMineを率いるトム・リー氏は、5月にマイアミで開かれた「Consensus」で、ETHの買い入れペースを調整する考えを示していた。「流通量の5%確保という目標には、あまり早く到達したくない」と述べていた。
足元では、ETHの購入よりも自社株買いを優先している。7月以降、BMNR株を1910万株買い付けた。先週だけでも5000万〜5800万ドルを投じ、300万株を取得した。
企業による暗号資産買いでは、ビットコインでも同様の動きがみられる。マイケル・セイラー氏率いるStrategyは、6月以降ビットコインの購入を停止している。先週はビットコイン売却で確保した1億860万ドルを全額STRC優先株の買い付けに充て、前週にも1638BTCを売却した。
もっとも、両社の狙いは異なるとみられている。Strategyはバランスシート防衛の色合いが強い一方、BitMineは比較的余力を残した状態で購入ペースを調整しているという見方が出ている。
市場の関心は、BitMineが5%の保有目標に達した後もETHの買い増しを続けるかどうかに移っている。データ分析会社のArkham Intelligenceは、BitMineが目標の96%水準に達したと推計した。今後のシナリオとしては、目標超過後も買い増しを続けるケース、現在のように購入ペースを落とすケース、目標達成後に購入を止めるケースの3つが想定されている。
なかでも注目されているのが、買い増し停止の可能性だ。Arkham Intelligenceは、最大級の企業買い手が需要サイドから退けば、短期的な強気地合いの重しになり得ると分析している。ETHは足元で1880ドル前後で推移しており、企業が財務戦略として相次ぎ参入した時期の価格水準を下回っている。
一方でBitMineには、Strategyと単純比較しにくい下支え要因もある。保有ETHの大半を「MAVAN」のバリデーターネットワークを通じてステーキングしているためだ。会社側が示した年換算のステーキング収益見通しは、利回り2.63%を前提に2億5700万ドルに達する。新規購入を止めても、ネットワーク報酬によって保有ETHが増え続ける可能性がある。
今回の動きは、企業の暗号資産財務戦略が単純な積み増しから、自社株買いと保有資産の運用を組み合わせる段階へ移りつつあることを映している。ステーキング収益が維持される構造であれば、買い増し停止が直ちに保有縮小を意味しない点がポイントになりそうだ。