Circleのビットコイン(BTC)裏付けトークン「cirBTC」が、機関投資家向け商品として改めて注目を集めている。Circleは8月12日、cirBTCを中立的な担保資産として訴求した。ただ、新規ローンチではなく、Ethereum上では6月8日から提供が始まっている。一方で、足元の流通量は約40BTCにとどまっている。
ブロックチェーンメディアのThe Defiantによると、Circleは同日、cirBTCを機関投資家向けの担保手段として改めて打ち出した。すでにEthereum上で稼働しているものの、市場での広がりはなお限定的だ。
Etherscanによれば、該当コントラクトの最大総供給量は40.01955869 cirBTCで、保有アドレス数は11だった。
CoinGeckoでも、cirBTCは「プレビュー専用」として扱われている。追跡対象の中央集権型取引所と分散型取引所(DEX)では、現時点で取引は確認されていない。
Circleは、機関投資家が「Circle Mint」を通じてcirBTCの発行と償還を行えるようにすると説明している。現時点で対応ネットワークとして明示されているのはEthereumのみだ。
今後の展開先としてはArcを挙げた。あわせて、マルチチェーン対応も順次拡大する方針を示した。ただし、Arcへの対応は関連規制の承認状況に左右されるとしている。
発行スキームも機関投資家向けを意識した設計とした。cirBTCの発行主体は「Circle International Bermuda Limited」。Circleによると、同社は米通貨監督庁(OCC)の監督を受ける連邦認可のナショナル・トラストバンクで、適格カストディアンでもある。
裏付けとなるBTCは、バミューダの関連会社を通じて保有する。保管については、Circle National TrustがcirBTC保有者のためだけに担うとしている。
8月11日午前8時時点の準備金ダッシュボードでは、cirBTCの供給量は40.02159077、準備金は42.5070808BTCと表示された。ダッシュボードではBTC準備金アドレスと個別残高も公開しており、取引相手がビットコインのブロックチェーン上で保有量を直接確認できるようにしている。
Circleは、月次の証明書ではなく、Chainlinkの準備金証明方式を採用すると明らかにした。
Circleが強調する「中立性」は、発行構造そのものの分散化を意味するものではない。競合し得る中央集権型取引所やDEX、レンディングプロトコルを自社で運営しない点を指すと定義している。
実際、cirBTCの発行と償還はCircle Mint経由で行われる。Etherscan上では、cirBTCトークンはプロキシコントラクトとして識別されている。
既存のBTCトークン化商品と比べると、規模の差は大きい。CoinGeckoの集計では、WBTCの流通量は11万6132、時価総額は73億6200万ドル(約1兆1043億円)だった。
CoinbaseのcbBTCは、流通量が9万7231、時価総額は61億6200万ドル(約9243億円)となっている。
対応ネットワークにも開きがある。WBTCはEthereum、Solana、Tron、BNB Chain、Base、Kava、Osmosisに対応する。cbBTCはEthereum、Base、Monad、Solana、Arbitrumで展開している。
これに対し、cirBTCはCoinGeckoで価格や時価総額がまだ追跡されていない。供給量が少なく、流通経路も限られているだけに、Circleが掲げる機関投資家向け担保戦略が実際のシェア拡大につながるかは見通せない。
今後は、Arcへの対応可否に加え、マルチチェーン展開と、機関投資家中心の限定的な流通構造をどの程度広げられるかが焦点となる。