ビットコイン価格が足元で軟調に推移する一方、中長期の採用拡大を支える構造要因は依然として有効だ――。資産運用会社Grayscaleは12日、こうした見方を示した。米政府債務の拡大やブロックチェーン基盤の浸透、投資家層の変化を背景に、需要拡大の流れは維持されるとみている。
ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineによると、Grayscaleは短期的な価格変動と中長期の採用トレンドは切り分けてみる必要があると指摘した。足元の下落局面でも、ビットコイン需要の基盤を支える構造的な環境に大きな変化はないとしている。
同社が主な根拠として挙げたのが、米政府債務の拡大だ。債務膨張はインフレや通貨価値の低下リスクを高める可能性があり、投資家資金が希少資産や代替的な価値保存手段へ向かいやすくなると分析した。供給量が固定されているビットコインは、その有力な受け皿になり得るとしている。
金融インフラの変化も追い風と位置付けた。ステーブルコインやトークン化の普及によって、ブロックチェーンは金融サービス全体を支える基盤として定着が進むと見通す。過去1年では、主要銀行や資産運用会社がトークン化分野への参入を加速させ、暗号資産関連技術の導入も急速に進んでいると指摘した。
今後は、銀行や証券会社など金融仲介機関を通じたビットコインへのアクセスも広がると予測する。Grayscaleのリサーチ責任者ジャック・パンドルズは、技術導入が進めば、より多くの仲介機関がビットコインの売買や保管に必要なインフラを整備し、規制面の明確化も進むとの見方を示した。その結果、ビットコインは既存金融システムと切り離された資産ではなく、制度金融の枠組みに取り込まれていく可能性があるとしている。
投資家層の変化も、中長期の採用拡大を支える材料に挙げた。若年層の投資家はデジタル資産への選好が強く、代替資産もすでに標準的なポートフォリオの構成要素になりつつあると分析。機関投資家、資産管理プラットフォーム、個人投資家が、分散投資の一環としてビットコインを継続的に組み入れていくと見込んでいる。
資金流入の主な経路としては、上場投資商品(ETP)を挙げた。こうした資金配分は主にETPを通じて進むとの見方で、すでにその流れは相当程度進展しているという。仮に価格が循環的な下落局面に入っても、長期的な採用シナリオそのものは損なわれないと強調した。
ビットコイン価格はなお弱含みの状況にある。足元では6万3549ドルを付け、2025年10月の最高値12万6080ドルと比べて約50%低い水準にある。ただ、Grayscaleは価格の弱さだけで構造的な需要拡大の流れが途切れたと判断するのは早計だとみている。
今回の分析は、ビットコインの価格動向と採用ペースを分けて捉えるべきだとの立場を明確にしたものだ。米政府の債務負担、金融業界におけるブロックチェーン基盤の拡大、投資家の嗜好変化が重なるなか、ビットコインが既存金融に組み込まれていく流れは続くというのがGrayscaleの見立てである。