SpaceXAIは12日、新たな人工知能(AI)モデル「Grok 4.6」を発表した。総合性能指標ではOpenAIの「GPT-5.6 Sol Max」と同水準に並び、ソフトウェア開発やターミナル操作に関するベンチマークで強みを示した。複数ステップの作業を担うエージェント用途や、対話・ビジュアル生成の強化も打ち出している。
Grok 4.6は、前世代モデル「Grok 4.5」をベースに開発した。SpaceXAIによると、継続的な作業をこなすエージェント用途を念頭に性能を高めたほか、ユーザーとの対話の中で視覚的なアウトプットを生成する機能にも注力したという。
同社が公表したベンチマークでは、9指標を合算するArtificial Analysisの「Intelligence Index」(AAII)で61点を獲得した。これはGPT-5.6 Sol Maxと同水準で、Anthropicの「Fable5 Max」の62点には1点届かなかった。一方、前モデル「Grok 4.5 High」の56点からは5点改善した。
個別指標では、評価項目ごとに強弱が分かれた。経済的価値のある業務遂行能力を測る「GDPVal-AA v2」では1753点、知識労働分野の「AA-Briefcase」では1577点、法務分野の「Vals」では15.8%を記録したGPT-5.6 Sol Maxが、それぞれ比較対象の中で最も高い成績だった。
一方、Grok 4.6はソフトウェアエンジニアリング評価の「DeepSWE v1.1」で65.9%、ターミナル操作性能を測る「Terminal Bench v3.0」で26%を記録し、Fable5 MaxとGrok 4.5 Highを上回った。SpaceXAIは、競合モデルの数値について各社が公開したシステムカードとリーダーボードを参照したとしている。
同社はGrok 4.6について、大まかな製品アイデアから動作する初期版を立ち上げる工程に特に強いと説明した。未知の領域を調べながらアプリケーション構造を組み立て、フィードバックを反映して反復的に改善するプロセスに適しているという。長時間に及ぶ作業では、次の段階に進む前にモデルが自律的に成果物を検証する挙動も見られ始めたとした。
学習手法も見直した。SpaceXAIはGrok 4.5より長い事前学習を適用し、Grok 4.5で再生成したデータを用いて教師ありファインチューニング(SFT)を実施した。さらに、カーネル最適化やWeb開発、コンピュータ支援設計(CAD)など、分野別の環境を含む強化学習を追加した。
安全性の強化も進めた。同社は、モデル性能の向上に合わせて安全機構を改善・調整したと説明。リリース前の性能評価と安全機構の調整テストの規模は、過去最大だったとしている。
提供チャネルも広げる。Grok 4.6は発表当日から、Grok Build、Cursor、Grok Bot、APIで提供を開始した。OpenRouter、Vercel、Cloudflareなどのパートナーチャネルでも利用できる。
このうちGrok Botベータは、同社が前日に公開したサービスだ。クラウド上の仮想コンピュータで常時動作するAIエージェントで、iPhoneやMacなどで利用できる。SpaceXAIは6月にCursorを買収している。
料金は、入力が100万トークン当たり2ドル(約300円)、出力が100万トークン当たり6ドル(約900円)。高速版はこの2倍の価格となる。SpaceXAIはリリース後1週間、CursorとGrok Buildでプランに含まれる利用枠を2倍にするプロモーションも実施する。