写真=Shutterstock

ビットコインとイーサリアムの現物ETFへの資金流入が再び増えている。一方で、マーケットメイク企業のWintermuteは、足元の流入改善だけをもって市場が本格的な強気局面に入ったとみるのは早計だとの見方を示した。

CoinPostが12日(現地時間)に報じたところによると、Wintermuteは最新レポートで、ETFへの資金フローは改善しているものの、市場はなお米経済指標や政策動向に大きく左右される局面にあると分析した。

米国のビットコイン現物ETFには5営業日連続で資金が流入し、合計は8億5350万ドルに達した。4月中旬以降では最も強い週間ベースの流入という。イーサリアム現物ETFにも2億4490万ドルが流入し、純流入は5週連続となった。両資産を合わせた流入額は約11億ドルで、このうち8割超をBlackRockの商品が占めた。

ただ、資金流入の規模に比べると価格の反応は鈍かった。ビットコインの週間上昇率は2.15%にとどまり、同期間のS&P 500の上昇率3.51%を下回った。Wintermuteは、リスク資産全般が上昇する局面でビットコインの上値が株式ほど伸びなかった点に注目している。本来は値動きの大きい資産が上昇しやすい局面にもかかわらず乖離が生じたことについて、ETF経由の買い需要と並行して、市場のどこかで売り圧力が出ていた可能性を示すものだとみている。

Wintermuteは、低水準の出来高にもかかわらず資金流入が続いた点も重視した。こうした動きは、機関投資家が計画的にポジションを積み増す局面でみられる特徴だと指摘。過去2週間に想定していた「ビットコインから資金が流出する」シナリオは、今回の動きによって崩れたとの認識も示した。

それでも、強気見通しに転じるにはなお確認材料が必要だという。ETF流入の改善自体は前向きなシグナルとしつつも、1週間の動きだけで構造的な資金流入トレンドと判断するのは難しいとした。夏の終わりまで、ETFの買い需要に加え、デジタル資産を財務戦略に組み込む企業の動きが持続するかを見極める必要があるとしている。

慎重姿勢の背景には、米経済指標を巡る不透明感がある。Wintermuteは、足元のリスク資産市場が単一の経済指標に振られやすい環境にあるとみる。特に12日発表の米消費者物価指数(CPI)の結果次第では、9月の利上げ確率が50%を超える可能性があり、その場合は直近の上昇相場の支えが弱まる恐れがあると警戒した。

直前に公表された7月の米雇用者数は2万3000人減と、市場予想の8万人増を大きく下回った。これを受け、9月の連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ確率は55%から40%に低下し、米10年国債利回りも4.6%まで低下した。週末にかけてリスク資産が反発した背景には、こうした金利見通しの変化があったとWintermuteはみている。

今後の予定についても、市場を左右する材料として挙げた。13日の生産者物価指数(PPI)と14日の小売売上高を短期の重要指標と位置付けたほか、27〜29日に開かれるジャクソンホール会議、9月15日に予定されるClarity法案を巡る討論終結動議の採決も、9月相場の方向性を左右する日程だとした。

米上院の共和党院内総務ジョン・スーンは、Clarity法案の討論終結動議を提出し、9月の審議手続きに着手した。Wintermuteは、長く停滞していた同法案が前進した点を前向きに評価した。一方、Galaxy Digitalは、2026年までに同法案が可決される確率を30%と低く見積もっており、立法期待だけで市場が動く局面ではないと指摘している。

総じてみれば、足元のETF資金流入の回復は需給面での好材料だが、価格にはなお十分に織り込まれていない。短期的には米国の物価・消費関連指標、より長い目線ではETF資金流入の持続性と9月の立法日程が、ビットコインとイーサリアム相場の次の方向を決める主要変数となりそうだ。

キーワード

#ビットコイン #イーサリアム #現物ETF #Wintermute #BlackRock #S&P 500 #CPI #FRB
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.