米EVメーカーのRivianが、中価格帯の電動SUV「R2」を軸に量販市場の開拓に乗り出す。自動運転、充電ネットワーク、ヒューマノイドロボットへの投資も並行し、製造とソフトウェア、インフラを一体で強化する構えだ。
米ITメディアTechCrunchが11日(現地時間)に報じたところによると、Rivianの最高経営責任者(CEO)、RJ・スカリンジ氏は、10月13〜15日に米サンフランシスコのモスコーンセンターで開かれる「Disrupt 2026」で、こうした戦略の背景と製造現場で得た教訓を語る予定だ。
中核となるのはR2である。Rivianは、約5万8000ドル(約870万円)のSUVとして投入するR2を足がかりに、既存の高価格帯モデル「R1T」「R1S」では届かなかった市場の裾野を広げる考えだ。
スカリンジ氏はR2について、「これまで投入してきた製品の中で最も重要な新車になり得る」と位置付ける。高価格帯EVの需要が鈍る中、R2がニッチ市場を超えて販売台数を伸ばせるかが今後を左右するとの見方だ。
もっとも、市場環境は厳しい。EV市場では、中国メーカーによる低価格攻勢が強まっている。
これに対しRivianは、車種の拡充だけでなく、ソフトウェアとインフラの整備を同時に進める方針を打ち出している。自動運転はその柱の一つで、スカリンジ氏は2028年までにレベル4の自動運転を実現するロードマップを示している。
充電分野では、自社の充電ネットワークを構築中だ。米国有数の充電事業者に育てる目標を掲げ、EV販売と充電インフラを結び付けることで顧客接点の拡大を狙う。
ロボット分野への展開も進める。スカリンジ氏はヒューマノイドロボット企業「Mind Robotics」を設立し、同社で取締役会議長兼暫定CEOを務めている。
Mind Roboticsは今年だけで9億ドル(約1350億円)を調達した。Rivianは同社の大株主であり、初期顧客でもある。
両社は、イリノイ州ノーマルにあるRivian工場を、人とロボットが連携する組立ラインの実証拠点として活用する構想を進めている。
スカリンジ氏は、この取り組みが将来的な人手不足への対応策になり得るとみている。Rivianの工場は、生産拠点にとどまらず、ロボット導入の効果を検証する現場としても活用される可能性がある。
焦点となるのは、Rivianが進める複数の投資を一つの戦略として束ねられるかどうかだ。スカリンジ氏は、Rivianが人工知能、ソフトウェア、ロボティクス、製造、輸送が交差する領域に立っており、この分野は今後さらに活況を呈するとみている。
同氏は、まず物理的な製品をつくり、その上に人工知能を組み込むアプローチを重視する。ソフトウェア起点でハードウェアへ広がるAI企業の流れとは対照的だという。
Rivianの次の成長段階では、単にEV販売を拡大するだけでなく、製造力、ソフトウェア、工場自動化、充電ネットワークをどう一つの体系として結び付けるかが問われる。「Disrupt 2026」では、その全体像が示される見通しだ。