Bitcoinの価格形成において、機関投資家の影響力が一段と強まっている。WintermuteのOTC現物取引では機関投資家の構成比が上昇し、デリバティブ取引の拡大やBitcoin現物ETFへの資金流入も重なって、暗号資産市場は個人主導から機関主導へと軸足を移しつつある。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが11日(現地時間)に伝えたところによると、暗号資産マーケットメーカーのWintermuteの2026年上期のOTC現物取引に占める機関投資家顧客の比率は72%だった。1年前の59%から大きく上昇した。
Wintermuteによれば、機関投資家の参加比率は2025年上期の59%から同下期に61%へ上昇し、2026年上期には72%に達した。長期の弱気相場のなかで一部の個人投資家が株式市場に資金を振り向ける一方、ヘッジファンドや資産運用会社、企業の財務部門がその空白を埋めたとしている。
投資家心理の変化もみられる。BlackRockでデジタル資産部門を統括するロバート・ミチニック氏は、Bitcoinを巡る投資家心理がこの1カ月で変化してきたと指摘した。Bitcoinが株式とは異なる値動きを強めている点を、その背景として挙げている。
機関資金の広がりは現物市場にとどまらない。WintermuteのOTCデスクでは、アルトコインのオプション取引量が2025年下期から2026年上期にかけて約3.4倍に増加した。投資ファンドが現物市場への価格インパクトを抑えつつ、オプションや先物を通じてヘッジを進めたためだ。現実資産のトークン化(RWA)の規模も約50%増え、310億ドル(約4兆6500億円)に達した。
取引主体の変化は、価格の動きにも影響を及ぼしている。Wintermuteは、機関投資家の資金は特定トークンに流入した後、高値形成後には比較的早く細る傾向がある一方、個人投資家は平均で約3日長くポジションを維持する傾向があると説明した。この差によって急騰局面の持続期間は短くなり、アルトコイン全体が同時に上昇する場面も減る可能性があるという。機関投資家は流動性の高い資産に選別的に資金を投じ、低迷するトークンからは素早く離れる傾向があるとしている。
Bitcoinのボラティリティ低下も、こうした機関投資家の参加拡大と連動しているとの見方が出ている。
機関投資家の保有理由にも変化がみられる。CoinSharesが2026年5月に公表した調査によると、運用資産総額約1兆3000億ドル(約195兆円)のファンドマネジャー26人のうち、デジタル資産を保有する理由として「分散投資」と「顧客需要」を挙げた回答は63%に達した。2年前の36%から大きく上昇した一方、「投機目的」は15%に低下した。ただ、中央値でみた組み入れ比率はなお1%にとどまり、社内制約や規制が配分拡大の主な障害として残っている。
Fidelity Digital Assetsも3月の報告書で同様の見方を示した。機関投資家はすでに「なぜBitcoinを保有すべきか」ではなく、「なぜ保有すべきでないのか」を説明しなければならない段階に入りつつあると指摘した。また、Bitcoinは過去15年間のうち11年間で最も高いパフォーマンスを記録した資産だったとしている。
Bitcoin現物ETFへの資金流入も、機関需要を示す指標の1つだ。Bitcoin現物ETFは直近5営業日で8億5350万ドル(約1280億円)を集め、4月中旬以降で最大の週間流入を記録した。このうちBlackRockのIBITが6億9370万ドル(約1040億円)と全体の8割超を占め、FidelityのFBTCには1億1640万ドル(約175億円)が流入した。
機関資金は現在、Bitcoin現物だけでなく、オプションや先物、ETFにも横断的に配分されている。取引比率の上昇とボラティリティ低下が同時に進んでいる点は、暗号資産市場の価格形成が個人中心から機関中心へ移行していることを示している。