金融情報分析院(FIU)は8月11日、トラベルルールの適用対象から100万ウォンの下限基準を撤廃し、暗号資産事業者の大株主審査や財務要件を厳格化する「特定金融取引情報の報告および利用等に関する法律施行令」改正案が同日の閣議で議決されたと発表した。海外取引所や個人ウォレットとの取引に対する規制も強化する。
今回の改正は、2月19日に公布された特定金融取引情報法改正に伴う後続措置。暗号資産事業者の届出不受理要件、審査対象となる大株主の範囲、暗号資産移転取引に関するマネーロンダリング防止義務などを具体化した。
改正案では、暗号資産事業者の届出審査の対象を拡大する。従来の大株主に加え、代表取締役または取締役の過半数を選任した株主も対象に含める。最大株主が法人の場合は、当該法人の最大株主と代表者も審査対象とする。
届出を受理しない要件も明確にした。暗号資産事業者には、負債比率を200%以下とし、直近3年間に債務不履行などで信用秩序を損なった事実がないことを求める。不健全金融機関に該当する場合や、金融関連法令に基づいて営業の許認可・登録などが取り消された場合も、届出は受理されない可能性がある。
一方で、利用者預り金や前払電子支払手段管理業者の未精算残高などは、負債総額の算定から除外する。既存の暗号資産事業者については、負債比率要件の適用を1年間猶予する。
業務運営体制に関する要件も強化する。暗号資産取引に関する専門性と健全性を備えた人材やIT要員を確保し、業務に必要な電算・セキュリティ設備、事故に備えた予備設備を整備しなければならない。利用者保護のための内部統制体制の整備も求める。これらの要件についても、既存事業者には1年間の猶予期間を設ける。
トラベルルールの適用範囲も大きく広がる。現在は、届出済み暗号資産事業者間の100万ウォン以上の移転取引に情報提供義務を課しているが、今後はこれを全取引に拡大する。受領側の事業者も、必要情報が欠けている場合は情報提供を求めるか、取引を拒否するなどの措置を取らなければならない。
金融当局は、100万ウォン未満の取引を繰り返してトラベルルールを回避する「分割送金」を防ぐ狙いだと説明した。約3カ月の間に2億ウォンを取引所に入金した後、テザー(USDT)を購入し、100万ウォン未満に分けて216回外部に移転した事例を、資金洗浄の疑いがあるケースとして示した。
海外取引所や個人ウォレットとの取引についても規制を強める。取引相手のリスク水準に応じて取引可能範囲を分け、1000万ウォン以上の取引では、事業者が独自の疑わしい取引の管理体制を構築・運用しなければならない。
低リスクと判断される海外取引所への移転は認める一方、それ以外の海外取引所と個人ウォレットについては、送金元と受取先が同一名義の場合に限って認める方式とする。高リスクと判断した場合は、取引自体を禁止する。
顧客確認義務の基準も明確化した。金融会社は、顧客属性や取引形態、利用する商品・サービスの特性などを総合的に踏まえてマネーロンダリングのリスクを評価し、強化された顧客確認の対象かどうかを判断する必要がある。
暗号資産事業者の届出制度と、退職者に対する制裁措置通知に関する規定は20日から施行する。トラベルルール拡大や海外取引所・個人ウォレット関連のマネーロンダリング防止義務など、残る条項は施行令の公布から6カ月後に適用する。
FIUは13日午後3時、ソウルのDreamplus Gangnamで、暗号資産事業者と届出準備中の事業者を対象に改正届出制度の説明会を開く予定だ。
FIUは、今後もマネーロンダリング防止と利用者保護の観点から、改正特定金融取引情報法令に基づいて暗号資産の届出制度を厳格に運用し、暗号資産事業者と暗号資産移転取引に対する監督を徹底する方針だとしている。