Teslaは10日、Starlinkの衛星アンテナを搭載したCybercabの実車を初めて公開した。仕様や導入時期は明らかにしていないが、同社は遠隔地でのロボタクシー追跡に向けた追加的な接続手段だとしている。
米EV専門メディアのElectrekによると、Tesla Robotaxiの公式Xアカウントは同日、ギガファクトリー・テキサスに駐車された金色のCybercabの写真2枚を投稿し、「Starlinkを統合した初のCybercab」だと紹介した。
公開された車両の屋根には薄型の衛星アンテナが搭載されている。投稿写真の1枚は、米国旗とテキサス州旗を背にガルウイングドアを開いた車両を前方斜めから捉えたもの。もう1枚では、屋根上のアンテナと車体後部の「Cybercab」バッジが確認できる。Teslaは写真と短いコメントのみを公開しており、詳細な仕様や用途には触れていない。
今回の実車公開は、TeslaとStarlinkが7月にCybercabへの衛星インターネットの直接統合を打ち出して以来、初めて実物が確認された格好だ。当時は内部構造を示すレンダリング画像のみだったが、今回は実車に組み込まれたハードウェアが明らかになった。
一方で、具体的な活用目的はなお不明だ。CybercabはTeslaのAI4オンボードコンピュータを使った自動運転を前提としており、走行そのものに通信接続が不可欠とは考えにくい。現在のロボタクシー運行エリアもオースティン、ヒューストン、ダラス、マイアミなど移動通信網が整った都市部が中心で、衛星通信の必要性は相対的に低い。Teslaはこれについて、「遠隔地でロボタクシーを追跡するための追加的な接続オプション」と説明している。
採算面への影響も焦点となる。Cybercabは2024年10月に公開された2人乗りのロボタクシーで、ステアリングとペダルを廃し、3万ドル水準での投入を目標に掲げていた。衛星アンテナの追加により、車両原価や重量、通信コストが増える可能性がある。走行時の演算処理は車載コンピュータが担い、都市部では既存の移動通信網だけでも遠隔監視や支援に対応できるため、設備が重複する可能性を指摘する声もある。
生産は2026年初めにギガファクトリー・テキサスで始まり、7月までに工場敷地内では100台超の車両が確認された。ただ、本格商用化には至っていない。Teslaは現時点で、人の監視なしに同車を販売・運行する段階には達していないとしており、実車生産が進んでも、サービス拡大や販売日程が直ちに固まるわけではない。
今回の公開で、TeslaがCybercabとStarlinkの組み合わせをレンダリング段階から実車へと進めたことは確認された。ただ、用途は依然として明らかにされておらず、衛星通信が将来の運行エリア拡大を見据えた先行投資なのか、現行のロボタクシー運用を補完するものなのかが今後の注目点となる。