Cloudflareのトーマス・サイファートCFOは、ボットやAIエージェントの普及を背景に、非人間トラフィックが今後5年以内に人間由来の通信量の最大1000倍に達する可能性があるとの見方を示した。AIの拡大で、インターネット基盤にはこれまで以上に高い処理効率が求められるとしている。
海外ITメディアのTechRadarが10日に報じた。サイファート氏は直近の決算発表の場で、ボットやエージェント型アプリケーションの拡大がこの流れを加速させていると説明した。
同氏が問題視するのは、機械が生み出すインターネット上のリクエストがすでに人間を上回っている点だ。従来型の自動化ボットに加え、AIエージェントや各種自動化ツールが増えたことで、サーバーやネットワークインフラへの負荷も一段と高まっているという。
インターネットは人のコミュニケーションや消費の場と捉えられがちだが、実際のトラフィック構造は機械中心へと移行が進んでいるとする。
サイファート氏は将来予測には一定の留保が必要だとしつつも、増加ペースは明確だと強調した。「現在の傾向が続けば、5年以内に非人間トラフィックは人間トラフィックの最大1000倍になり得る」と述べた。
そのうえで、「人間トラフィックが減るわけではない。非人間トラフィックの増加スピードが極めて速い」と説明し、「インターネットでは、人間の存在が四捨五入誤差のような規模になりかねない」と語った。
Cloudflareは、こうした環境でもインターネットを人間にとって有用なものとして維持するには、自動化トラフィックを効率よく処理する仕組みが不可欠だとみている。人間由来であれ機械由来であれ、あらゆるリクエストはサーバーやインターネットインフラの負荷になるためだ。処理効率を高めなければ、自動化トラフィックの急増によってサービス停止や性能低下を招く恐れがあるとしている。
対応策として同社が挙げるのは、インテリジェントなトラフィック管理、最適化されたプロトコル、ハードウェアアクセラレーション、エッジコンピューティングだ。Cloudflareは、セキュリティや性能改善、インフラサービスを手がける事業者として、Webサイトのトラフィック管理やオンライン脅威の低減を担っている。
多くのWebサイトがCloudflareの保護機能を利用して表示速度の改善や攻撃の緩和を図っていることから、非人間トラフィックの増加は同社の中核事業にも直結する。
サイファート氏は、業界全体の非効率性にも言及した。競合各社のGPU稼働率は「非常に低い」とし、サーバーを先に購入してから再貸与する構造では、顧客側がサーバー資源を最大限活用する負担を負わされると指摘した。
Cloudflareは、こうした構造よりもインフラ運用の効率を高めることが重要だとの立場を示している。
今回の発言は、単なるトラフィック見通しにとどまらない。AIの普及が進んだ先で、インターネットインフラにどのような負荷がかかるのかを示すものでもある。人間より機械のほうが多くのリクエストを送る環境がすでに現実になっている以上、今後のインターネットサービス競争では、セキュリティや速度に加え、自動化トラフィックをどこまで効率的に処理できるかが重要な競争軸になりそうだ。
Cloudflareが打ち出す効率化戦略が、コストと性能の両面でどこまで効果を発揮するかが今後の焦点となる。