ステーブルコインを使ったカード決済市場が急拡大している。足元では米ドル建てステーブルコインへの集中が進んでおり、7月の決済額の84%をUSDCとUSDTが占めた。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが10日(現地時間)に報じたところによると、7月のステーブルコインカード決済額は7億5900万ドル(約1138億5000万円)となり、前年同月の約2.5倍に拡大した。
決済件数も増えた。7月は約900万件と、前年同月の約520万件から大きく伸びた。1件当たりの平均決済額は86ドル(約1万3000円)だった。
ステーブルコインカードは、既存のカード加盟店でステーブルコインを利用できるようにした仕組みだ。決済時に暗号資産を現地通貨へ換算し、加盟店側は通常のカード決済と同じ形で代金を受け取る。利用者はステーブルコインを自己保管型ウォレットで保有するか、カード発行会社に預けて利用でき、銀行口座がなくても使えるとされる。
通貨別では、ドル建てへの偏重が一段と鮮明になった。a16z cryptoが引用したデータによると、USDCの構成比は58%と、1年前の約48%から上昇した。USDTも同じ期間に約7%から26%へ拡大しており、カード決済の大半をドル建てステーブルコインが占める構図となっている。
一方で、ユーロ建てステーブルコインは急速に後退した。2024年初めには、カード決済額の約88%をEUReが占め、その多くがGnosisチェーン上で処理されていた。だが、今年7月時点でEUReの構成比は約2%まで低下した。
決済ネットワークの構成にも変化が出ている。Gnosis Payが自己保管型ウォレットと直接連携するVisaカードの提供を始めた2024年初めには、Gnosisチェーンが決済の大半を処理していた。今年7月はOptimismが約29%で最大となり、SolanaとBaseがそれぞれ約19%で続いた。Gnosisの構成比は約2%まで縮小した。
対応地域は今後さらに広がる可能性がある。Visaと、Stripe傘下でステーブルコインインフラを手がけるBridgeは3月、ステーブルコインカードプログラムを年末までに100カ国超へ拡大すると発表した。計画通りに進めば、Visa対応の世界1億7500万超の加盟店でステーブルコイン残高を利用できるようになる。
もっとも、普及の加速を巡っては見方が分かれている。Dragonflyのハシブ・クレシ氏は1月、ステーブルコインカードが世界で急速に成長していると述べた。一方、Better Tomorrow Venturesのシル・モノト氏は、カード普及を後押しするリワードや与信面のインセンティブがステーブルコイン決済には乏しいと指摘した。現行の決済インフラは、多くの先進国の事業者や消費者にとって著しく不便なものではないとの見方も示した。
市場拡大が続くなか、通貨構成と決済ネットワークの再編も進んでいる。今後、利用国の拡大が決済額の一段の押し上げにつながるのか、あるいはUSDC・USDT中心の構図がさらに強まるのかが焦点となる。