AIインフラ拡大の影響は、データセンター向けHBMだけでなくPC向けDRAM市場にも波及している(写真=Shutterstock)

PC向けDRAMの価格が急騰している。AIデータセンター向けの高帯域幅メモリ(HBM)需要が膨らみ、メモリ各社の生産能力がAI向け製品に振り向けられていることが、汎用DRAMの価格上昇につながっている。

Gigazineによると、DDR4メモリの1GB当たり価格は2024年の約0.9ドルから、2026年7月には約8.41ドルに上昇した。約2年で10倍近い水準となった。

現行規格のDDR5も上昇基調にある。1GB当たり価格は2025年7月の約2.2ドルから、2026年7月には11.4ドルまで跳ね上がり、1年で5倍超となった。

メモリ価格はこれまで、半導体技術の進歩を背景に長期的には下落傾向をたどってきた。微細化の進展や生産効率の改善によって、同じコストでより多くのメモリを生産できるようになり、容量当たりの単価が下がり続けてきたためだ。

ただ、足元では逆の動きが出ている。AIデータセンター向けHBMの需要拡大を受け、各社が生産能力をAI向けに重点配分していることが背景にある。

HBMと汎用DRAMは製造工程の一部を共用しており、HBM需要が急増すれば、汎用DRAMの供給にも影響が及ぶ可能性がある。

研究者のダニエル・ルミール氏は最近、RAMの容量当たり価格が過去の水準に戻りつつあると指摘した。実際、現在のDDR5価格は、DDR2が2008年に1GB当たり約11〜15ドルで取引されていた時期に近い水準とされる。

もっとも、これらの数値をメモリ市場全体の平均価格とみるべきではない。今回のデータは契約価格や平均販売価格ではなく、消費者市場で確認された最安値をもとに算出されたものだからだ。

スタンフォード大学のDAMプロジェクトは、当時販売されていた消費者向けメモリの最安値を1GB単位に換算して追跡している。2024年半ば以降のデータには、Amazonの価格履歴を追跡するKeepaのデータも取り込まれている。

このため、同じDDR4やDDR5でも、時期によって比較対象となる製品そのものが異なる可能性がある。

価格上昇の主因としては、需要と供給のギャップが挙げられている。イーロン・マスク氏は、メモリ生産量の増加が年20%程度にとどまる一方、需要は年200%以上のペースで増えているとの見方を示したことがある。

数値自体は推定にとどまるものの、AI向けメモリ需要の伸びが、既存の半導体生産能力の拡大ペースを大きく上回っている構図を示している。

問題は、こうした需給のひっ迫がいつ解消に向かうか見通しにくい点だ。ルミール氏は今後の展開を予測するのは難しいとしたうえで、AIシステムが必要とするメモリ容量を減らすか、より多くのメモリをより速く生産できる手段が必要だと指摘した。

AIブームの影響は、高価格帯のデータセンター向けHBMにとどまらない。PCに搭載される汎用DRAMの価格も押し上げており、メモリ各社の増産とAI向けHBM需要の伸びがいつ均衡に向かうかが、今後のPC・サーバー向けDRAM価格を左右しそうだ。

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