中国の電気自動車(EV)が米国市場に参入する場合、現地の大手自動車メーカーと組んだ提携販売や既存ディーラー網の活用が有力だ。米EVメディアElectrekが実施した読者調査で、こうした見方が最も多かった。中国生産車はすでに北米市場で販売されており、議論の軸は参入の可否から参入手法へ移りつつある。
Electrekによると、Electrekは読者約3000人を対象にアンケートを実施した。回答では、中国EVの米国市場参入は「時間の問題」とみる向きが優勢で、販売形態としてはGM、Ford、Stellantis傘下ブランドなどとの提携や、既存ディーラー網を通じた販売を挙げる回答が最も多かった。
調査は、カナダ経由で中国製EVが北米市場に流入している現状を踏まえ、米国で最初に本格販売される中国EVがどのような形になるかを尋ねたもの。約700人が、現地完成車メーカーが提携の形で車両を導入し、ディーラー経由で販売するシナリオを選んだ。1980年代のGeoやEagleのように、現地ブランドを前面に出す販売モデルに近いとの見方も示された。
一方で、中国EVの米国市場参入は起きないとみる回答も少なくなかった。約500人は、米政府が国内自動車産業保護の観点から事実上、中国車の流入を阻止するとの見方を示した。全体では参入を見込む回答が上回ったものの、およそ5人に1人はこれに否定的だった。
Electrekはあわせて、すでに米国市場で中国生産車が販売されている点も指摘した。FordはLincolnブランドの「Nautilus」を中国・杭州のChangan Ford工場で生産している。Fordの技術文書には同工場が最終組立拠点として記載されており、米道路交通安全局(NHTSA)もNautilusの組立工場を中国・杭州と明記している。米国の伝統的ブランドの一つが、すでに中国生産車を米市場で販売している構図だ。
こうした事例はFordに限らない。Volvoは2015年から中国生産車を輸入しており、Hondaの現行Fitも北米市場のうちカナダ向けは中国から導入された。さらにPolestarを巡っては、スウェーデンで設計され、米サウスカロライナ州で生産されるモデルがあるにもかかわらず、中国との関係を理由に規制対象のように扱われるという矛盾もあるとした。
読者の反応も、こうした流れを裏付けた。ある読者はFordと中国の結び付きの例としてLincolnを挙げ、Electrekはこの指摘がおおむね事実に沿うとの見方を示した。設問自体も、中国EVの米国市場参入は「あるかないか」ではなく、「いつ、どの形で実現するか」を前提としていた。
今回の結果は、中国EVの米国市場参入を巡る論点が、参入の是非から具体的な販売手法へ移っていることを示している。カナダ向けの中国製EVは増加傾向にあり、米欧の既存自動車メーカーも中国企業と新たなEVプラットフォームの開発を進めている。今後の米国市場では、中国ブランドが前面に出る形よりも、現地ブランドとの提携、委託生産、既存ディーラー網の活用といった手法が先行して現実味を帯びる可能性がある。