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マーク・エスパー元米国防長官は、米デジタル資産市場構造法案「CLARITY法」について、単なる金融規制ではなく国家安全保障上の法案として捉えるべきだと主張し、米上院に早期可決を促した。中国による代替決済インフラの構築や、北朝鮮による暗号資産の悪用が、米国の金融面での影響力や制裁の実効性を損なう可能性があるとの認識を示した。

10日、Cointelegraphによると、エスパー氏は9日付のFinancial Timesへの寄稿で、デジタル資産規制の空白は市場整備の問題にとどまらず、米国の地政学的影響力と国家安全保障にも関わると訴えた。

同氏は特に中国を最大の戦略的脅威と位置付けた。中国は米国の監督を回避し、ドルの基軸的地位を弱める狙いで、国家主導の決済システムに投資していると指摘した。

その上で、暗号資産市場に明確なルールを整備することは、米国の金融面での影響力を維持する上でも重要だと強調した。

北朝鮮による暗号資産の活用についても懸念を示した。エスパー氏は、ラザルス・グループのような北朝鮮系ハッカー集団が暗号資産を使い、米国の金融制裁や監視を回避する可能性があると指摘した。

CLARITY法によって規制の空白を埋めることで、米政府は違法な金融活動への対応手段を強化できると同氏は主張する。あわせて、米財務省が持つ特別措置権限の重要性にも言及した。

エスパー氏は、米愛国者法311条に基づく特別措置権限を、不正主体への対処に有効な手段と評価し、暗号資産市場でも同様の金融上の統制手段を活用する必要があると訴えた。

また同氏は、「現在上院で審議中のCLARITY法案は、単なる金融サービス法案ではない。国家安全保障法案でもあり、その観点から理解され、速やかに可決されるべきだ」と述べた。

上院での審議日程も具体化している。ジョン・スーン上院多数党院内総務は9日、法案の本会議採決に向けた討論終結動議を提出した。上院は9月15日に採決に踏み切る見通しだ。

これにより、CLARITY法を巡る議論は、規制の明確化や産業競争力の枠を超え、国家安全保障や対中戦略の文脈でも扱われるようになっている。

エスパー氏は現在、暗号資産取引所Coinbase Globalの諮問委員も務めている。今回の主張には、暗号資産産業の規制を明確化しつつ、米国の金融・技術競争力を維持したいという業界側の問題意識もにじむ。

一方で、CLARITY法案が国家安全保障の観点からどこまで具体的な権限や執行手段を担保するのかは、今後の上院審議で主要な論点となる見込みだ。北朝鮮による暗号資産の悪用や、中国が進める代替決済網の構築を米国の暗号資産規制とどう結び付けるのか、また金融イノベーションを促しながら制裁の実効性と金融面での影響力を維持できるかが焦点となる。

9月の上院採決を前に、CLARITY法が米国の暗号資産市場のルール整備にとどまらず、中国と北朝鮮に対抗する金融安全保障上の法案として位置付けられるのかに注目が集まっている。

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