画像=BitMartのX投稿

暗号資産取引所BitMartのサービス終了を巡り、顧客資産を持ち逃げしたとの観測が広がっている。創業者のシェルドン・シャオ(Sheldon Xia)は8日、X(旧Twitter)への投稿でこうした見方を否定し、資産の精査や集約、システム保守を進めていると説明した。ただ、準備金の証明や具体的な出金スケジュールは示されておらず、利用者の不安は収まっていない。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが8日(現地時間)に報じた。シャオは同日の投稿で、「BitMartは逃げていないし、今後も逃げない」と強調。現職・元従業員を名乗る投稿や流出情報、スクリーンショットなどを安易に信用しないよう利用者に呼びかけた。

そのうえで、中核チームが資産の精査、資産の集約、システム保守を継続しており、秩序ある清算を目指していると説明した。関連する告知は順次公表するとしている。

一方で、今回の説明では肝心の数値や日程は示されなかった。準備金証明報告書は公表されず、具体的な出金スケジュールや資産状況も明らかにしていない。

8日は、BitMartが米国ユーザーに暗号資産の出金を求めていた期限とも重なった。市場では、実際の資産状況を示す証明の開示を求める声が強まっている。

BitMartは7月26日、プラットフォームを秩序ある形で終了すると発表した。理由として、運営条件、市場環境、戦略方針を挙げている。

この発表を受け、BitMartのBMXトークンはCoinGeckoベースで1日で約60%下落した。

同社は7月26日から新規アカウントの作成を停止し、入金と新規注文の受け付けも止めた。現物取引と先物取引は8月26日に停止する予定だ。

サービス終了は2027年1月31日までに完了する見通しだが、利用者はその後もしばらくログインして取引履歴を確認し、出金申請を行えるとしている。

問題は、閉鎖発表前から利用者の不満がくすぶっていた点にある。公式発表の数日前からSNSでは、保有資産に適時アクセスできない、出金が止められたといった投稿が相次いでいた。

ある口座保有者は、プラットフォーム上で8万ドル(約1200万円)相当の暗号資産が拘束されていると主張した。

経営体制を巡る混乱も表面化した。BitMartのグローバル最高経営責任者(CEO)だったネンター・ネイサン・チャウは、7月24日に自身の解任を知ったと明らかにした。

チャウによると、サービス終了の決定には関与しておらず、その事実を知ったのも公表後だったという。チャウはAnimoca Ventures出身で、2025年4月にCEOに就任した。当時、シャオはグループ社長に退いていたとされる。

閉鎖発表の数週間前まで、チャウは公の場で「今後8年はここにいる」と語っていた。

規制面でも、利用者が救済を求める手段は限られる。BitMartの持ち株会社GBM Global Holding Company Limitedはケイマン諸島に登録されており、利用規約でもケイマン法を準拠法としている。

ただ、ケイマン諸島金融管理局(CIMA)は8月6日、BitMartおよび関連するGBM法人について、現地で暗号資産事業を営むための登録や認可などを受けていないと発表した。

BitMartは過去にもセキュリティ事故や出金を巡る論争に見舞われている。2021年12月には、ホットウォレットのハッキングで約1億5000万ドル(約225億円)を失った。

また5月23日には、出金に関する不満への対応文書で、リスク管理システムが取引補助金の悪用と判断した239の関連アカウントを停止していると説明した。あわせて約束していた全体の準備金証明報告書は、現時点でも公表されていない。

こうした状況を踏まえると、BitMartのサービス終了局面における最大の争点は、実際の資産状況と出金手続きの開示にある。創業者が自ら火消しに動いたものの、利用者の不安を抑えるには、資産の証明と明確な日程の提示が不可欠な状況だ。

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