「Clarity Act」を巡る上院審議は9月に持ち越された。写真=Reve AI

米上院で審議されている暗号資産関連法案「Clarity Act」の採決が、8月休会前には実現せず、9月に持ち越される見通しとなった。ホワイトハウスの暗号資産顧問パトリック・ウィット氏は、上院民主党が法案審議の進行を妨げたと批判している。

9日付のCryptopolitanによると、ウィット氏はX(旧Twitter)への投稿で、チャック・シューマー氏と暗号資産に前向きとされる民主党議員らが、休会前の手続き上の採決まで阻んだと主張した。さらに、民主党が審議日程の先送りを求めたとも訴えた。

同氏は、上院が9月15日までに採決に進めなければ、法案審議が長期にわたり停滞する可能性が高いとの見方も示した。

今回の対立は、8月休会前の採決日程の確定が見送られた後に表面化した。上院は夜間まで協議を続けたが、休会前に法案処理の日程を固めることはできず、9月中の成立可能性にも慎重な見方が広がっている。

こうした中、共和党のジョン・チューン上院院内総務は、休会明け直後に主要な手続きを進めるための動議を提出した。提出文書では、上院日程番号423、下院法案3633号を前進させるため、討論終結を求めている。

Clarity Actは、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の管轄区分を整理し、デジタル資産の発行・販売を巡る規制枠組みを明確化する内容が柱だ。米国内のデジタル資産企業が長年問題視してきた規制の不透明感を和らげる狙いがある。

上院で法案審議が前進しなければ、暗号資産の市場構造を巡る包括的な規制整備もさらに遅れる可能性がある。11月の中間選挙が近づくにつれて議会の優先順位が変わる可能性もあり、業界内では9月会期を事実上の正念場とみる向きが強い。

上院は9月14日に正式再開する予定だ。チューン氏がすでに手続きに着手しているため、再開直後に採決日程の調整が本格化する可能性がある。

もっとも、法案成立までには討論終結手続きや待機期間など複数の段階を踏む必要がある。9月会期は約3週間と限られており、他法案との日程調整も重荷となる。

票固めも容易ではない。Clarity Actの可決には60票が必要だが、共和党の議席は53にとどまる。党内から離反が出なかったとしても、民主党または無所属から少なくとも7票を上積みしなければならない。

このため共和党は党内結束を維持しながら野党側の協力を取り付ける必要がある。一方の民主党は、問題があるとみる条項について修正を求めている。

法案にはなお複数の争点が残る。議員らの間では、金融犯罪への対応に関する詳細規定、ステーブルコインの報酬を巡る扱い、政府の倫理指針などを巡って見解が分かれている。

7月には、ギャレゴ上院議員とティリス上院議員が、公職者とその配偶者によるデジタル資産の発行や後援を禁じ、その執行を州司法長官に認める折衷案を提案した。この案には、ドナルド・トランプ米大統領が暗号資産関連事業の持ち分を処分する条項も盛り込まれているが、トランプ氏の同意は得られていない。

市場関係者も9月の採決を注視している。Galaxy Researchは先月、同法案が2026年内に成立する確率を50%から30%へ引き下げた。

今後の焦点は、9月中旬に上院が採決局面に入れるかどうかだ。手続き上の採決が動き出せば法案審議が再び前進する可能性がある一方、今回も日程を消化できなければ、米国のデジタル資産規制を巡る不確実性はいっそう高まりそうだ。

米議会は暗号資産の市場構造に関する立法に長年取り組んできた。上院でも昨夏以降、Clarity Actを巡る調整が続いているが、なお与野党の隔たりは埋まっていない。

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