Zcash(ZEC)が、対ビットコインで約9年続いた下落トレンドを上抜け、相場構造の転換を示唆している。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、ZEC/BTCは先週、長期の下降トレンドラインを突破した後も、0.007904BTC前後で推移している。
注目点は一時的な急騰ではなく、この動きが本格的なトレンド転換につながるかどうかだ。ZEC/BTCの現在の水準は200日単純移動平均線の0.002567BTCを大きく上回っており、2017年以降続いてきたZcashの対ビットコインでの長期的な弱含みの流れから脱したとの見方も出ている。
ベンチャーファンドPlaceholderの共同創業者、クリス・バーニスキー氏は今回の値動きについて、暗号資産市場における「古いルール」は終わりつつあるとの見解を示した。今回の上昇局面は過去のサイクルとは本質的に異なり、対ビットコインでの強さそのものが、従来の相場シナリオが機能しにくくなっている兆候だと指摘している。
これまでZcashの急騰は、アルトコイン市場の過熱局面の終盤を示すシグナルと受け止められることが多かった。急騰後に急落する展開が繰り返されてきたためだ。今回は20日、50日、128日、200日の各移動平均線を上回って推移しており、バーニスキー氏はこれを「安定したマクロ基盤」と位置付けた。資金の流れも過去と同じではないとみている。
背景には、オンチェーン環境の変化があるとの見方がある。ブロックチェーンの透明性が高まるなか、市場ではビットコインがかつて備えていた匿名性の性格が薄れてきたと受け止められている。バーニスキー氏は、こうした変化が、より高いプライバシー性を備えた領域へ流動性を段階的に移す可能性があると指摘した。プライバシー機能を前面に打ち出すZcashが再び注目される理由も、そこにあるという。
Digital Currency Group(DCG)を率いるバリー・シルバート氏の従来の見通しも、あらためて市場で取り沙汰されている。市場参加者が新たな相場環境で資金流入の勢いを測るうえで注目する節目は2つある。1つはビットコイン時価総額の1%水準で、Zcashはすでに2025年に到達した。もう1つはビットコイン時価総額の10%水準で、現時点では約1300億ドル(約19兆5000億円)に相当する。
もっとも、市場が直ちにZcash固有の強さを織り込んでいるわけではない。バーニスキー氏も投資家に対し、冷静かつ実務的な姿勢を維持するよう呼びかけている。ビットコインは依然として暗号資産市場全体の中心であり、世界的な影響力だけで個別アルトコインの独自トレンドを大きく揺さぶる可能性があるためだ。
それでも今回のZcashの動きは、アルトコインは対ビットコインで長期的な弱さから抜け出しにくいというこれまでの定説を試す局面として受け止められている。プライバシー需要の高まり、オンチェーン透明性の拡大、ビットコイン中心の資金フローの変化が重なれば、Zcashの相対的な強さが一時的な反発にとどまらない可能性もある。今後は、その持続性が焦点となる。