EthereumとSolanaで、トークン供給を抑える仕組みの見直しがそれぞれ検討されている。一方で、価格の方向性を最終的に左右するのは供給縮小より需要だとする見方も出ている。
Cryptopolitanが8日(現地時間)に報じたところによると、Galaxy Researchは、両ネットワークで発行構造の見直し議論が進む一方、トークン価格を決めるうえでは需要側の動向がより重要だと指摘した。
論点の中心にあるのは、ネットワークレベルでのインフレ調整だ。Ethereumでは、ステーキング比率に応じてバリデーター報酬を見直すEIP-8361が提案されている。
この案では、ネットワーク全体のステーキング比率が50%に近づくにつれて報酬を段階的に引き下げ、一定水準に達した後は報酬を焼却する。現在のステーキング比率は総供給量の約3分の1で、この前提ではコンセンサス層の利回りが約2.6%から1.2%まで低下する見通しという。
提案は、Ethereum Foundationのジャスティン・ドレイク氏を含む研究者6人が提出した。ステーカーが制度変更に対応する時間を確保するため、移行期間は18カ月を想定している。
現時点で投票は行われていない。議論は、今秋予定の「Glamsterdam」に続く次回アップグレード「Hegotá」の検討項目として続いている。選定手続きは11月まで続く見通しで、最終承認された場合でも実装は2027年中になる可能性が高い。
もっとも、市場では反発も出ている。Aave創業者のスタニ・クレチョフ氏とSharplinkは反対を表明した。
Sharplinkのジョセフ・シャロムCEOはXで、「ハードウェアや電力コストまで考慮すれば、バリデーターは赤字に陥り得る」と投稿した。バリデーター向けアンケートでは99.77%が反対し、8月6日のコア開発者会議では、発表者が議題取り下げの可能性にも言及したという。
一方のSolanaでは、オンチェーンガバナンスを通じて2件の提案が同時に進んでいる。SIMD-0550は、年間のインフレ率低下ペースを従来の2倍に当たる30%へ引き上げる内容だ。
これにより、インフレ率の下限である1.5%に達する時期を、従来想定の2032年から2029年へ前倒しする。あわせて、今後の発行予定量を約1890万SOL減らすことを見込む。ステーキング参加率を68%と仮定した場合、ステーキング利回りは導入時点の5.84%から、1年後に4.34%、2年後に3%、3年後に2.25%へ段階的に低下する見通しだ。
もう1件のSIMD-0553は、現在1件ごとの固定制で課している署名手数料を、計算資源の使用量に応じた方式へ改める提案だ。新制度では、この手数料を全量焼却し、新規供給圧力の抑制も狙う。
Galaxy Researchは、この案が実施されれば、Solanaの1日当たりの焼却量が現在の約650SOLから7500〜9000SOLへ増える可能性があるとみている。足元の価格水準で換算すると、1日当たりの焼却額は約4万7000ドルから最大65万ドルまで拡大する計算だ。
ただ、1日当たり約6万SOLの新規発行が続いており、焼却拡大の効果はなお相殺されると指摘した。
Solanaの提案に対する反発は、Ethereumほど大きくないという。Galaxy Researchは、その背景として、関連するアイデアが市場参加者の間で1年以上議論されてきた点を挙げた。
両提案はいずれも、議論開始に必要なアクティブステーク15%の基準を上回った。可決には3分の2超の賛成が必要で、議論期間は8月22日に終了する。
こうしたなか、Solanaを主要な準備資産として保有するDeFi Development(DFDV)は8月4日、両提案を支持し、賛成票を投じる方針を明らかにした。
供給調整を巡る議論は本格化しているが、Galaxy Researchは、価格は発行量の変化だけで決まるものではなく、需要の裏付けがあって初めて方向性が定まると強調した。
今回の議論は、発行量の縮小そのものより、それが実際の需給にどう影響するかが重要であることを改めて示した。Ethereumではバリデーターの採算性と合意形成、Solanaではガバナンス通過と焼却拡大の実効性が、それぞれ今後の焦点になりそうだ。