ビットコインを金のような安全資産、あるいは価値保存手段とみなせるのか――。足元で金が上昇する一方、ビットコインの相対的な弱さが目立っていることから、インフレや通貨価値の下落に対するヘッジ資産としての位置付けを巡る議論が再燃している。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが8月9日(現地時間)に報じたところによると、ブルッキングス研究所の上級研究員ロビン・ブルックス氏は、最近のビットコインは、いわゆる通貨価値毀損トレードに乗れていないと指摘した。
ブルックス氏はX(旧Twitter)への投稿で、ビットコインは貴金属に対して継続的に劣後しているとし、「ビットコインは金と同じ意味での安全資産でも、価値保存手段でもない」との見方を示した。安全資産かどうかは市場の認識に左右される面があるとしつつも、足元の値動きはその性格に疑問を投げかけるには十分だと説明した。
同氏はこれまでもビットコインに懐疑的な見解を繰り返してきた。2023年3月にはビットコインをバブル資産と位置付け、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが本格化すれば価格が急落する可能性があると主張。当時も、価値保存機能や分散投資効果には乏しいとの認識を示していた。
その後の2023年後半には、ビットコインを「役に立たない資産」と表現。上昇局面のかなりの部分がFRBの金融政策への期待に左右されているとし、ビットコインはFRB政策に連動する一種の先物のようなものだと述べた。投資家にとっては、FRB先物を直接取引した方が合理的だとの見方も示している。
一方、市場では、ビットコインの安全資産性を足元の値動きだけで判断すべきではないとの反論も出ている。Bitwiseのアルファ戦略責任者ジェフ・パーク氏は、ビットコインが過去にさまざまな金利カーブのスティープ化局面で底堅く推移した点に着目。2020年3月、2021年2月、2023年3月、2023年9〜10月、2024年9月を例として挙げた。
パーク氏は、こうした局面での値動きを踏まえると、ビットコインは通貨価値毀損トレードだけでなく、脱ドル化を織り込む取引の対象にもなり得ると主張した。金と同じ方向に動かなかったことだけを理由に、価値保存手段としての性格を否定するのは難しいという立場だ。
今回の論争は、足元で金価格が強含んだことをきっかけに再燃した。ブルックス氏は、直近10日間で金価格が約10%上昇したとした上で、貴金属の相対的な強さを強調。これに対しパーク氏は、金とビットコインの短期的な値動きを単純比較するのではなく、金利構造やマクロ環境の変化に対するビットコインの反応も合わせてみるべきだと反論した。
争点は、ビットコインを金のような伝統的な安全資産とみなせるかどうかにある。通貨価値の下落に対するヘッジ手段として定着するとの期待がある一方で、市場環境次第ではリスク資産のように振る舞う局面も繰り返しているためだ。
今後は、ビットコインが金利変動や通貨価値の下落、脱ドル化の流れの中でどのような相関を示すのかが、安全資産論争を見極めるうえでの焦点となりそうだ。