Bitcoinのセキュリティ関連組織が、最先端のAIモデルを用いてBitcoin関連の約150リポジトリを監査し、12件以上の脆弱性を発見して各プロジェクトに通知したことが分かった。ウォレットや暗号ライブラリ、インフラを対象に、AIを活用した監査体制の構築を進めている。
ブロックチェーンメディアのDecryptが8日、報じた。同組織はBitcoinの中核ソフトウェア全般を対象に、AIベースのセキュリティ監査を実施しているという。
今回の取り組みは、「Bitcoinレッドチーム」プラットフォームの構築の一環だ。レッドチームは、攻撃者の視点でソフトウェアを検証し、実際に悪用される前に脆弱性を洗い出す体制を指す。
同組織はあわせて、Bitcoinソフトウェア監査向けのオープンソースAIプラットフォームの開発も進めているとしている。
Anchorageの最高経営責任者(CEO)、ロブ・ハミルトン氏は先週、X(旧Twitter)への投稿で、複数のAIサービスにこれまで約2万ドル(約300万円)を投じたと明らかにした。
同氏は「寄付の申し出には感謝するが、その必要はない。費用はすでに確保している」と述べた。
ハミルトン氏によると、同組織はKimi K3、OpenAIのGPT Sol、AnthropicのClaude FableとOpus、Z.aiのGLM 5.2を併用し、脆弱性の特定と関連文書の作成を進めている。
OpenAIとも連携しており、「Cyber Harness」の運用に向けた支援も受けたという。ハミルトン氏は「コストは大きいが、それに見合う価値があり、すでに良い結果が出ている」と説明した。
匿名開発者のカレ氏は、同組織がウォレット、暗号ライブラリ、インフラなどBitcoin関連プロジェクトを対象に、複数のAI監査体制を構築したと説明した。
同氏は「平均すると1時間に1件のペースで脆弱性を見つけている」としたうえで、「直近12時間で複数のプロジェクトに致命的な脆弱性を報告した」と述べた。さらに「皮肉にもコストは高く、1日あたり1万ドル(約150万円)を消費している」と付け加えた。
もっとも、影響を受けたプロジェクト名や脆弱性の詳細は公表していない。実際の悪用につながるおそれがあるセキュリティ問題では、詳細開示を遅らせるのが一般的で、今回も対象や技術的な詳細は示されなかった。
今回の動きは、暗号資産業界でAIを使ったセキュリティ点検が急速に広がっている流れを映す。今年初めには、AnthropicのClaude Opus 4.8を活用した研究チームが、Zcashで4年間見過ごされていた欠陥を発見した。この脆弱性は、攻撃者が偽造ZECを無制限に生成できる可能性につながるものだった。
8月にはCoinkiteが、攻撃者がColdcardウォレットの脆弱性特定にAIを使った可能性があるとの見方を示した。BitcoinブリッジのBoltzは、攻撃者が自社チームのパッチ適用を上回る速度でAIを使って脆弱性を見つけているとして、スワップサービスを停止した。
AIはBitcoinの開発エコシステムにおいて、防御のためのツールである一方、攻撃を加速させる手段としても存在感を強めている。
今回のBitcoinレッドチームの取り組みは、中核リポジトリ全体に対する予防的な監査を広げる事例といえる。今後は、脆弱性の開示範囲や、オープンソースの監査プラットフォームを公開するかどうかが焦点になりそうだ。