中国のAIモデルが、性能と普及の両面で米国勢に急速に迫っている。CNBCは7日、最先端チップや計算資源、資金調達、人材確保では、なお米国が大きな優位を維持していると報じた。
Hugging FaceのCEO、クレマン・ドゥラング氏は今週、中国がオープンモデルで明確に主導権を握っているとの見方を示した。この勢いが続けば、年末から来年にかけてフロンティアモデルでも優勢に立つ可能性があるという。
中国勢は、米国の先行モデルとの差を急速に縮めている。Moonshotが7月に公開した「Kimi K3」は、各種ベンチマークでAnthropicやOpenAIの上位モデルに迫り、項目によっては上回った。
性能向上を背景に、欧米企業による中国モデルの採用も広がっている。ダウンロードや改変が可能で、自社環境でも運用できる高水準のオープンモデルは、事実上すべて中国製だとする評価もある。ロボティクス分野でも中国が先行しているとの見方が出ている。
価格競争力も中国AIの強みだ。最先端モデルではなお差があるものの、低価格で高性能な代替手段として存在感を高めており、米国に加えてアフリカの途上国でも採用が広がっている。
新アメリカ安全保障センターの上級研究員、ダニエル・レムラー氏は、現在の流れが続けば、中国AIが途上国で有力な選択肢になる可能性が高いとみる。中国のAI技術が標準化すれば、各国が政治的に中国寄りとなり、中国企業も現地市場で足場を築きやすくなるとの見立てだ。
中国は、ロボティクスや自動運転、行政運営などAIの実装領域でも強みを持つと評価されている。トニー・ブレア研究所で科学技術政策を統括するキーガン・マクブライド氏は、製造業、ロボティクス、自動化された科学インフラ、AIを活用した行政運営がAIの価値創出の中核になれば、中国が有利な立場に立つと指摘した。
もっとも、計算資源は依然として中国の弱点だ。米国は高性能なAIモデルに加え、技術同盟や計算資源でも圧倒的に優位に立つ。米国の輸出規制によって、中国のAI企業は最先端チップへのアクセスを大きく制限されている。
こうした制約は、より大規模で高性能なモデルの学習だけでなく、推論サービスの供給力にも影響する。MoonshotはKimi K3の需要急増を受け、処理能力の不足から新規サブスクリプションの受け付けを一時停止した。
中国は制約克服に向け、海外の計算資源の活用や米国モデルの蒸留などを模索している。NVIDIA製チップの密輸入疑惑も指摘されている。
中国の半導体産業も発展を続けているが、米国との差はなお大きい。CNBCは、民間資本と人材の面でも米国が優位を保っており、AnthropicとOpenAIは巨額の資金を調達して事業を拡大し、人材も引き続き米国に集まっていると伝えた。