ビットコインは、中東情勢の緊迫化と米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、6万6000ドル台で上値の重い展開となっている。原油高を背景にインフレ再燃への警戒が強まり、暗号資産を含むリスク資産全般の投資心理を圧迫している。
Coinpostが23日に報じたところによると、市場は米国とイランの軍事衝突再燃に伴うリスク回避の流れに敏感に反応している。
6月17日には、ホルムズ海峡の航行再開に向けた暫定合意に至ったものの、6月下旬以降は海峡を通過する船舶への攻撃が続いた。停戦状態は事実上崩れ、米国は7月に入って空爆を再開。22日時点で11日連続となった。イランと連携するフーシ派勢力は、サウジアラビアに対する海上禁輸措置を宣言している。
こうした動きを受け、国際原油価格も再び上昇した。ブレント原油先物は22日に4%上昇し、1バレル94ドル台を付けた。月間では約20%上昇している。米国のガソリン価格も1ガロン4ドル水準に戻り、市場では原油が100ドルを上回る可能性も意識されている。原油高はインフレ再燃への懸念を強め、暗号資産を含むリスク資産の重荷となっている。
チャート面では、6万ドルが短期的な下値の節目、8万ドルが上値の目安として意識されている。足元では6万ドル近辺から反発し、6万ドル台後半まで戻したが、上値の重さはなお意識される。
市場アナリストのDan Crypto Tradesは、ビットコインが6万〜8万ドルの広いレンジ内で反発を試しているとの見方を示した。日足ベースでは、200日移動平均線と200日指数移動平均線が急速に低下しており、現状の水準が続けば8月ごろに価格と交差する可能性が高いとしている。
直近の上値抵抗としては、6月高値の6万7000ドルに加え、週足終値ベースの強気相場サポートバンドと重なる7万ドル近辺が挙げられる。日足の200日移動平均線は約7万2700ドル、200日指数移動平均線は約7万3900ドルで、いずれも現値を上回る。一方、下値支持としては、週足で0.382戻しに当たる約5万7900ドルと、200週移動平均線の約6万3300ドルが重なる。半値戻しに当たる7万1000ドルを明確に回復しない限り、強気転換を判断しにくいとの見方も出ている。
機関投資家マネーの戻りも、なお力強さを欠く。ビットコイン現物ETFは6月に約45億ドル(約6750億円)の純流出を記録した。8週連続で続いた累計82億ドル(約1兆2300億円)規模の流出は、7月初めにようやく一服した。その後、7月10日までの1週間に約1億9700万ドル(約296億円)、17日までの1週間に約7570万ドル(約114億円)が流入し、2週連続の純流入となった。
ただ、2週間の流入額は合計でも約2億7300万ドル(約410億円)にとどまる。13日には中東情勢の緊迫再燃を受け、1日で約4億2000万ドル(約630億円)が流出した。
投資家心理を示す恐怖・強欲指数は33と、「恐怖」圏にとどまっている。ビットコインは5月以降で約20%下落した。AI半導体関連株やIPO市場に資金が向かい、暗号資産が相対的に出遅れていることも重荷とみられている。
マクロ環境も逆風だ。29日のFOMCを前に、市場では様子見姿勢が強まっている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のフェドウオッチでは、29日の会合で政策金利が据え置かれる確率は約83%と織り込まれている。
もっとも、原油急騰が再び物価を押し上げるとの懸念は残る。実際、原油が急騰した13日には、利上げ確率が一時46%台まで上昇した。クリストファー・ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事は、政策判断上のリスクが雇用の弱さよりもインフレ側に移ったとの認識を示した。Bank of Americaは2026年に3回の利上げを予想している。
米国の6月消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.5%となり、市場予想の3.8%を下回ったことで、いったんは金融引き締めへの警戒を和らげた。ただ、今回の原油高が8月12日公表の物価指標に反映されるかどうかが、次の焦点になりそうだ。
短期的には、中東情勢と29日のFOMCの結果が最大の変数となる。市場では当面、6万〜6万8000ドルのレンジ推移を見込む向きが多い。原油が100ドルを超え、FOMCが引き締め姿勢を強めれば、6万ドルを再び試す圧力が強まる可能性がある。一方、停戦再合意など外交面で進展があれば原油が反落し、リスク選好の回復とともに暗号資産への資金フローが持ち直す余地もある。