「InterBattery 2026」で公開されたLG Energy SolutionのLMR電池(写真=LG Energy Solution)

LG Energy Solutionは9月7日、ソウル大との共同研究で、次世代リチウムマンガンリッチ(LMR)電池の商用化に向けた課題とされてきたガス発生の抑制に成功したと発表した。40Ah級の大容量セルでも安定した性能を確認し、電気自動車向け適用への可能性を示した。

共同研究は、ソウル大化学部のイム・ジョンウ教授の研究チームと実施した。LG Energy Solutionによると、LMR電池をEV向け大容量セルに適用するうえで重要な知見を得たという。

LMRは、コバルトを使わず、比較的低コストのマンガンを主原料とする次世代正極材料だ。遷移金属に加え、材料内部の酸素もエネルギー貯蔵に活用できるため、高いエネルギー密度が見込める。

一方で、充電時に酸化された酸素が放電時に十分回復しない場合、内部構造の損傷やガス発生を招く。この問題は、内部空間が限られるEV向け大容量セルでは内圧上昇や性能低下につながりやすく、LMR電池の商用化に向けた大きな課題とされてきた。

研究チームは、充放電条件によって変化する酸素の酸化・還元挙動を精密に分析した。その結果、酸素の回復には充電上限電圧だけでなく、放電下限電圧も大きく影響することを確認した。

充電上限電圧を4.6Vから4.3Vに引き下げると、酸化された酸素の還元率は86%から97%に上昇した。また、放電下限電圧を従来の3.0Vではなく2.0Vまで下げることで、酸素がほぼ元の状態まで回復することも確認した。

LG Energy Solutionは、この分析結果を基に40Ah級LMR大容量セルの作動電圧範囲や活性化工程を見直した。活性化工程では低温条件を適用し、大容量セルで起きやすいガス発生を抑制したとしている。

最適化条件を適用した40Ah級LMR大容量セルは、883回の充放電評価後も初期エネルギーの92.2%を維持した。LG Energy Solutionは、小型セルにとどまらず、実際のEV搭載を想定した大容量セルでもLMR材料の商用化可能性を実証したとしている。

イム・ジョンウ教授は「今回の研究は、LMR電池の劣化要因を酸素の可逆性の観点から明らかにし、電気化学条件の設計だけでもセル安定性を改善できることを示した」とコメントした。さらに「充電条件だけでなく放電条件まで含めて総合的に設計することで、LMR電池の長期安定性を確保できることを確認した」と述べた。

LG Energy Solutionの関係者は「LMR電池の主要課題だったガス発生を効果的に抑制し、大容量セルでも安定した寿命特性を確保できることを示した成果だ」と説明した。そのうえで「次世代LMR電池市場での事業拡大に向けた足掛かりになる」とした。

研究成果は国際学術誌「Nature Communications」に掲載された。

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