米コロラド州は、使用済みEVバッテリーの回収・処理を自動車メーカーに義務付けた。EV普及に伴って増加が見込まれる廃バッテリーについて、消費者や自治体ではなくメーカー側に管理責任を持たせ、リサイクルの仕組みを制度化する。
米ITメディアのEngadgetが22日(現地時間)に報じたところによると、同州は6月に署名された法案「SB26-003」に基づき、寿命を迎えた、または不要となったEVバッテリーを自動車メーカーが回収し、処理することを義務付けた。
今回の制度の柱は、廃バッテリーの管理責任をメーカーに明確に課した点だ。これまでは車両所有者や整備事業者、地域の廃棄物処理施設などに負担が分散しやすかったが、今後は自動車メーカーが回収から再利用、再資源化、廃棄まで一貫して管理する必要がある。
州はあわせて、EV用廃バッテリーの埋め立て処分も禁じる。2029年7月以降、州内の埋め立て地ではEVバッテリーを廃棄物として受け入れられなくなる。埋め立て処分ではなく、別途の回収・再処理ルートの整備を促す狙いがある。
EVバッテリーは製造時に多くのエネルギーと重要鉱物を必要とするうえ、使用後も大型で重量があるため、輸送や保管の負担が重い。火災リスクもあり、一般廃棄物と同じ扱いで処理するのは難しい。
一方で、使用済みバッテリーにはリチウム、ニッケル、コバルトなど再利用可能な資源が含まれる。メーカーが安定した回収体制を整えれば、バッテリーを蓄電設備として再利用したり、主要原料を回収して新たなバッテリー生産に生かしたりすることができる。
今回の法整備は、EV産業の成長と廃バッテリー管理体制の構築を同時に進める必要があるとの認識を反映したものだ。EVは内燃機関車に比べて走行時の排出量や維持費を抑えやすい一方、バッテリーの製造・廃棄段階に伴う環境負荷は課題として残っていた。
コロラド州の制度は、生産者が製品の使用後まで責任を負う拡大生産者責任(EPR)に近い仕組みといえる。バッテリーを市場に供給した企業に対し、廃棄段階の費用負担と管理責任を求めることで、リサイクルを前提とした製品設計や処理インフラへの投資を促す効果も見込まれる。
自動車メーカー各社は、2029年の埋め立て禁止施行までに、廃バッテリー回収拠点の整備や輸送網の構築、再利用・再資源化事業者との連携体制づくりを進める必要がある。EV販売の拡大に伴って回収対象のバッテリーも増えるため、関連コストの増加は避けられない見通しだ。
業界では、今回の措置が他州の廃バッテリー政策にも波及する可能性があるとの見方が出ている。EV普及策が車両販売の支援にとどまらず、バッテリーの生産から廃棄までライフサイクル全体を管理する方向へ広がりつつあることを示す事例ともいえそうだ。