2024年以降にローンチされた新規トークンのうち、時価総額が1億ドル(約150億円)を超えた銘柄でも、9割超がTGE価格を下回っていることが分かった。暗号資産分析プラットフォームのCryptoRankがまとめた調査で、TGE後も価格を維持できた例はごく一部に限られた。
ブロックチェーンメディアのCoinPostが現地時間22日に伝えたところによると、CryptoRankは2024年以降に市場投入された時価総額1億ドル以上のトークン113銘柄を分析した。その結果、TGE価格を上回っていたのは8銘柄(7.1%)のみだった。
残る105銘柄は、分析時点でいずれもTGE価格を下回っていた。全体のリターン中央値はマイナス95.7%。時価総額が1億ドルを超えるプロジェクトであっても、TGE後の価格維持に苦戦するケースが大半を占めたことになる。
TGE価格を上回った銘柄は限られていた。最も高いリターンを記録したのはHyperliquid(HYPE)で、TGE比1519%上昇。Ondo Finance(ONDO)は101.4%、EverValueCoin(EVA)は20.3%、Midnight Network(NIGHT)は16.5%の上昇だった。
CryptoRankは、多くの新規トークンがTGE直後の価格を維持できず、その後は長期にわたって大幅な下落基調をたどったと分析した。TGE後も堅調な値動きを維持できたプロジェクトは、例外的な存在だったとしている。
エアドロップの投資成績も同様の傾向を示した。CryptoRankはX(旧Twitter)で「TGE直後にエアドロップトークンを売却すべきか」と問いかけ、主要プロジェクトのリターンを比較した。
その中で突出していたのがHyperliquidだ。初期配布分の約130ドル(約1万9500円)相当のトークンは、現在では約4700ドル(約70万5000円)となり、約35倍に増えた。
一方で、他の主要プロジェクトの多くは大きく値下がりした。Uniswap(UNI)は1200ドル(約18万円)から1300ドル(約19万5000円)へ小幅上昇したものの、Aptos(APT)は1100ドル(約16万5000円)から90ドル(約1万3500円)に下落。Optimism(OP)は380ドル(約5万7000円)から25ドル(約3750円)、Arbitrum(ARB)は1300ドル(約19万5000円)から85ドル(約1万2750円)に減少した。
ApeCoin(APE)は8万ドル(約1200万円)から1500ドル(約22万5000円)へ急落した。Starknetは1000ドル(約15万円)から15ドル(約2250円)、dYdXは3700ドル(約55万5000円)から37ドル(約5550円)へ縮小した。
CryptoRankは、長期保有で大きな収益につながった事例として、Hyperliquidは事実上唯一のケースだと位置付けている。
こうした傾向は、他の調査結果とも一致する。暗号資産リサーチ企業のMemento Researchは、2025年にローンチされたトークン118銘柄のうち、100銘柄(84.7%)で完全希薄化時価総額(FDV)が上場時より低下したと分析した。FDVの中央値はTGE比で71%、時価総額の中央値は67%減少したという。
Delphi Digitalも6月公表の「トークン市場の現状」レポートで、平均的なトークン価格は上場後の期間の約70%でTGE価格を下回って推移したと明らかにした。さらに、2025年以降に中央集権型取引所へ上場した652銘柄を分析したところ、リターン中央値はマイナス82%で、半数超が上場後に価値の80%以上を失ったとしている。
Delphi Digitalは背景として、トークン発行構造、段階的なロックアップ解除スケジュール、価値還元メカニズムの構造的な限界を挙げた。特に、ベンチャーキャピタル(VC)出資を受けたプロジェクトの多くで、上場直後の急騰後に長期下落へ移るパターンが繰り返されていると分析。一般投資家が長期的な損失を被る一方、初期投資家やプロジェクト内部の関係者が相対的に高い収益を得やすい構造になっていると指摘した。
今回の調査からは、新規トークン投資では時価総額や初動の値上がりだけでは長期的な成績を判断しにくい実態が改めて浮き彫りになった。エアドロップや新規上場トークンを見極める際には、短期的な急騰だけでなく、その後の価格維持力やトークンの流通構造、ロックアップ日程まで含めて確認する必要がありそうだ。