みずほ証券は、ステーブルコイン「USDC」を発行するCircleの投資判断を「中立」から「アンダーパフォーム」に引き下げた。新興ステーブルコインの台頭に加え、Coinbaseとの収益分配を巡る再交渉や、米規制法案の行方がUSDCの収益モデルに逆風になると判断した。
23日のCoinPostやThe Blockの報道によると、みずほ証券は、米クラリティ法案が成立した場合、機関投資家を巻き込んだ競争が一段と激しくなり、USDCのコモディティ化が進む可能性があるとみている。
同証券のアナリストチームは、新たなステーブルコイン「OpenUSD」を有力な競合候補として挙げた。OpenUSDは、Visa、Mastercard、Stripe、BlackRock、Coinbaseを含む140社超の金融・テクノロジー・暗号資産関連企業が参加するコンソーシアムが進めるプロジェクトだ。
論点の一つは収益配分の仕組みだ。OpenUSDは、準備金から生じる収益の大半を流通パートナーに配分し、発行体は少額の管理手数料のみを受け取るパススルー型モデルを採用している。
これに対しCircleは、CoinbaseやBinanceなどのパートナーと収益を分け合ったうえで、USDC準備金収入の約38%を保持しているという。競合がより積極的な配分モデルを打ち出せば、Circleの既存収益性が直接圧迫される可能性がある。
Coinbaseの動向も不確定要因となっている。みずほ証券は、USDC最大の流通パートナーであるCoinbaseがOpenUSDを支持した場合、次回の収益分配交渉でCircleに対する発言力を一段と強める可能性があるとみている。
両社の流通契約を巡っては、早ければ来月にも再交渉が行われるとの見方が出ている。
みずほ証券は、クラリティ法案がCircleにとって重荷となり得る理由として3点を挙げた。まず、法案にはステーブルコイン残高に対する利息や受動的な収益の提供を禁止するか、または強く制限する内容が盛り込まれている。
Circleはこれまで、Coinbaseなどとの収益分配契約を通じて利用者の保有インセンティブを設計してきたが、この手法が使いにくくなれば、従来の利息付き口座と比べた魅力が低下する可能性がある。
次の論点は、伝統的な金融機関の参入余地の拡大だ。連邦認可の信託銀行や商業銀行が独自のステーブルコインを発行できる枠組みが整えば、JPモルガンやBNYメロンなど大手銀行の参入障壁は下がる。
その場合、Circleがこれまで差別化要因としてきた規制対応面の優位性は薄れる可能性があると、みずほ証券はみている。
収益性への圧力も無視できない。Circleの収益の大半は、USDCの準備資産である短期米国債の利息収入に依存している。規制強化に伴うコンプライアンス費用の増加に、手数料無料の決済ネットワークとの競争が重なれば、純利益率は中長期的に低下しかねないという。
一方、Circleも規制面の基盤強化を進めている。米通貨監督庁(OCC)からナショナル・デジタルカレンシー銀行の設立認可を確保しており、競争環境が厳しさを増すなかで、規制上の立場を先行して固める戦略を並行して進めている。
もっとも、立法日程はなお不透明だ。米国のデジタル資産規制の枠組みを盛り込んだクラリティ法案を巡っては、22日に共和党が修正案を公表し、早ければ来週にも上院本会議で採決される可能性があると報じられている。
ただ、大統領関連の倫理条項を巡る争点が残っており、採決に必要な賛成票を確保できるかは見通せない。CircleとUSDCを取り巻く競争環境は、法案の行方とCoinbaseとの再交渉のタイミングによって、なお変動する可能性がある。