パキスタンは暗号資産の不正利用対策として専門捜査組織を新設した(写真:Shutterstock)

パキスタンが、暗号資産を悪用した金融犯罪への対応を強化する。パキスタン連邦捜査庁(FIA)は、マネーロンダリングやテロ資金供与などへの対策として、国家指揮統制センター(NC3)傘下に暗号資産犯罪を扱う専門捜査組織を新設した。市場規制や事業者監督は、パキスタン仮想資産規制庁(PVARA)が担う。

ブロックチェーンメディアのDecryptoが7月21日(現地時間)に報じた。NC3は、金融犯罪の捜査・対応機能を集約した組織とされる。

今回の措置は、パキスタン政府がデジタル資産の制度化を急ぐ中で打ち出された。新設組織が暗号資産の犯罪利用に関する捜査を担い、規制面はPVARAが受け持つことで、制度整備と執行体制の構築を並行して進める形となる。

同国政府はこれに先立ち、約8年間続けてきた暗号資産関連の銀行取引制限を解除し、取引所ライセンス制度の導入手続きにも着手していた。規制機関の設立に加えて捜査体制も整備し、市場制度の整備と犯罪対策を同時に進める構えだ。

ムハンマド・アタル・ワヒドFIA対テロ部門局長は、現地メディアDawnのインタビューで、暗号資産を利用した違法取引を重点的に捜査する方針を明らかにした。あわせて、国家サイバー犯罪捜査機関や麻薬取締組織にも同様の専門組織が必要だと指摘し、暗号資産がサイバー犯罪や麻薬取引に利用される経路を遮断すべきだと強調した。

制度化に向けた動きも加速している。パキスタンは、Chainalysisの「2025年グローバル暗号資産採用指数」で3位となった後、PVARAを新設し、暗号資産取引所のライセンス制度や国有資産のトークン化構想を検討してきた。

対外面では、トランプ一族が関与する主要な暗号資産事業、World Liberty Financial(WLFI)系列企業と連携し、ステーブルコイン「USD1」を越境決済に活用する案も検討している。暗号資産を国内の金融インフラにとどめず、対外経済協力の手段として活用しようとする動きといえる。

一方で、イスラム法に照らした暗号資産の扱いは不透明要因として残る。パキスタンの有力イスラム神学校Jami'a Darul Uloom Karachiは6月、暗号資産はイスラム法上で認められる「財産」には当たらず、有効な支払い手段ともみなせないとの見解を示した。

これに対し、ビラル・ビン・サキブPVARA議長は、デジタル資産を一律に判断すべきではないと主張している。純粋な投機性トークン、準備資産に裏付けられたステーブルコイン、ブロックチェーン上に記録されたスークーク(イスラム債)などの実物資産連動型商品(RWA)を区別して検討するよう、宗教界に求めている。

専門捜査組織の新設により、パキスタンは暗号資産市場の規制と犯罪捜査を担う体制を並行して整えつつある。ただ、暗号資産をどこまで許容するかを巡っては宗教界で見解が定まっておらず、今後の制度化のスピードや市場拡大の行方は、この議論に左右される可能性がある。

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