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IQM Quantum ComputersとDeutsche Bahnは、量子プロセッサと高性能計算(HPC)を組み合わせ、ドイツの鉄道ダイヤ最適化に取り組む実証試験を実施した。対象はドイツ5都市の190路線で、実際の時刻表データを用いて9万8500通りの運行パターンを評価した。

20日付のCryptopolitanによると、両社はハイブリッド型の量子スケジューリング手法を用い、実データで鉄道運行計画の最適化を検証した。人手で最適化するのが難しい規模の問題に対し、既存の量子ハードウェアとHPCを組み合わせて対応した点が特徴だ。

試験では、実際の鉄道ダイヤデータを使用した。IQMは最適化問題全体をHPC環境で複数の部分問題に分割し、その一部を量子プロセッサで処理したうえで、計算結果を全体のダイヤ設計に反映した。

研究チームは、量子近似最適化アルゴリズム(QAOA)を活用した。古典計算系が全体の運行計画を管理し、量子プロセッサが特定部分の最適化を担う構成で、結果はIQMのホワイトペーパーにまとめられている。

今回の試験では、大きく3つの成果が確認された。第1に、現時点で利用可能な量子ハードウェアでも、実務で利用可能な鉄道ダイヤ案を生成できることを示した。フォールトトレラント型量子コンピュータの実用化を待たずとも、企業や機関がハイブリッド方式で量子最適化を試験導入できる可能性を示した格好だ。

第2に、処理するデータ規模が大きいほど性能改善の傾向が見られた。研究チームは、量子チップに割り当てた処理量と結果の品質の間に、統計的に有意な相関があったとしている。

第3に、量子プロセッサの性能向上に伴い、ソフトウェア基盤を大きく変えずに、より複雑で精緻な運行スケジュールへ拡張できる可能性も示した。

IQMは、入力から出力までの一連の処理を自社システム上で直接実行したと説明した。シミュレーションではなく、実機の量子ハードウェアでスケジューリング問題を処理し、活用可能な結果を得たとしている。

IQMのシニアサイエンティスト、イネス・デ・ベガ氏は、今回の取り組みについて、量子コンピュータが産業規模の最適化問題に対応できる段階に近づいていることを示す事例だと評価した。Deutsche Bahnとの実証は、足元でも実質的な価値を提供でき、ハードウェア性能の向上に応じて自然に拡張できる技術ロードマップを示したと述べた。

Deutsche Bahnの量子技術責任者マンフレート・リック氏も、量子コンピューティングは一過性の流行にとどまる技術ではないと強調した。HPCと量子コンピューティングを組み合わせた環境で実際の産業課題を処理し、「量子優位」に一歩近づいたとの見方を示した。

もっとも、今回の試験は主要な運行条件を事前に定めた固定ダイヤを前提としている。実際の鉄道運行では、列車の遅延、線路閉鎖、設備故障といった突発要因が頻繁に発生する。

運行状況は数分単位で変化し得るため、実運用ではリアルタイムでの対応力が重要になる。研究チームは、量子ハードウェアの性能が高まれば、同じハイブリッド構成のまま、変動する運行条件下でもより迅速に代替案を算出し、意思決定を支援できるとみている。

量子コンピューティングを巡っては、グローバルのIT企業も投資を拡大している。IBMは6月、今後5年間で100億ドル(約1兆5000億円)を投じ、2029年までに初の耐故障性量子コンピュータを披露する計画を発表した。

米商務省は5月、IBMが米国初の純粋な量子ファウンドリー事業になると見込まれる別会社「Anderon」を設立する過程で、10億ドル(約1500億円)規模の補助金を受けると明らかにした。

IBM株は量子コンピューティング関連の発表のたびに強く反応する一方、期待が後退する局面では大きく調整する動きも繰り返してきた。同社は22日の取引終了後に2026年4〜6月期決算を発表する予定で、市場ではネガティブな事前開示を受け、業績への期待がやや低下しているという。

今回のDeutsche Bahnの実証は、量子コンピューティングが研究室レベルの例題を超え、実際の産業スケジューリング問題に適用できる可能性を示した事例といえる。今後の焦点は、固定ダイヤにとどまらず、遅延や故障など変数の多いリアルタイムの運行環境でも、同じ手法が有効に機能するかどうかに移る。

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