Dogecoinの開発陣とコミュニティの間で、マージマイニングを巡る安全性の捉え方を巡って議論が広がっている。争点は、DogecoinのセキュリティがLitecoinに依存しているのか、それとも複数のScrypt系レイヤー1(L1)チェーンに支えられているのかという点だ。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが19日(現地時間)に報じた。発端となったのは、Dogecoin Foundationの開発者パウロ・ビダル氏の問題提起だ。ビダル氏は、Dogecoinがマージマイニングに強い採掘インセンティブを与えている一方で、独自の採掘基盤は十分ではないとの見方を示した。
同氏はさらに、Dogecoinの安全性が実質的にLitecoinに結び付いているのではないかと指摘。将来的に独自のセキュリティ体制を構築すべきか、それとも現行の枠組みを維持すべきかを問いかけた。
これに対し、Dogecoinの開発者クロマティックX氏は反論した。同氏は「DogecoinはLitecoinに依存しているのではない。マージマイニングされるすべてのScrypt系L1コインに依存している」と述べた。
要するに、Dogecoinの安全性は単一チェーンに依存するものではなく、同じPoWアルゴリズムを採用する複数チェーンによるマージマイニングの仕組み全体で成り立っている、という主張だ。
マージマイニングは、同じハッシュパワーとPoWアルゴリズムを用い、採掘資源を分散させることなく2種類以上のコインを同時に採掘する仕組みを指す。DogecoinやLitecoin、NamecoinなどのScrypt系コインがこの方式を採用している。
現状では収益性の面で、DogecoinとLitecoinの組み合わせが中心にある。
この議論には、Dogecoinの共同創業者ビリー・マーカス氏も加わった。同氏は「DOGEは最も採掘収益性の高いScrypt系コインだ」とした上で、「AuxPoWは、ほかのScrypt系コインとも一緒に採掘できるようにする仕組みにすぎない」と述べた。
これは、Dogecoinの採掘報酬が強い誘因となっており、マージマイニングはLitecoinへの従属を意味するものではなく、Scrypt系エコシステム全体で成り立つ収益構造だとの見方を示した発言と受け止められる。
今回の論争は、2014年8月に導入されたDogecoinとLitecoinのマージマイニング体制を改めて問い直す形となっている。当時のDogecoinはハッシュレートが相対的に低く、51%攻撃への脆弱性が懸念されていた。このため、マージマイニングの導入はネットワーク防衛力を高める有力な手段とみなされていた。
ただ、導入から12年が経過した現在、Dogecoinが独自のセキュリティ体制へ移行すべきかどうかが改めて議論の俎上に載っている。
一方で、マージマイニングをやめる選択肢が実際に受け入れられるかは不透明だ。Dogecoin Foundationの理事ティモシー・ステビング氏は、「マージマイニングされているScrypt系暗号資産の多くは、Dogecoinの発行量に依存して採掘の採算性を維持している」と述べた。
つまりDogecoinは、保護される側にとどまらず、マージマイニングに参加する他チェーンの採掘インセンティブを支える中核でもあるということになる。
こうした事情から、議論は単なる技術論にとどまらず、ネットワーク運営の考え方にまで広がっている。クロマティックX氏は、「Dogecoinは単独で自らを守るべきだ」とする主張を、哲学的な純粋性に近い議論だと位置付けた。一方で、コミュニティの一部には、構造変更を検討すべき時期に来ているとの見方もある。
現時点で、Dogecoinが独自の採掘基盤を強化するのか、それともマージマイニング体制を維持するのかについて結論は出ていない。
最終的な論点は、Dogecoinが特定のチェーンに安全性を依存しているかどうかだけではない。現行のマージマイニング構造が、長期的に十分なセキュリティと採掘インセンティブを提供できるのかが問われている。Dogecoinは他のScrypt系チェーンのハッシュパワーを活用する一方で、各チェーンの採掘収益性を支える存在でもあるため、構造変更は単なる技術的な選択にとどまらず、エコシステム全体の経済バランスにも影響を及ぼす可能性がある。
今後の議論は、独立性を高めることで得られる安全性の利点と、マージマイニングがもたらす効率性をどう比較するかが焦点となりそうだ。